富山県施行の富山駅付近連続立体交差事業「富山地方鉄道本線高架化工事」の起工式がこのほど開かれ、事業の最終工程となる高架橋工事などが本格着手した。これを受け富山市は、高架化完成後に地鉄新駅舎の下を通る富山駅横断東線の新設や堀川線の平面4車線化に順次取り組み、南北の一体的なまちづくりをより一層推し進める。
連続立体交差事業は、富山市明倫町−曙町間の延長約1・8キロ。2019年3月にあいの風鉄道の高架化が完成し、今回の地鉄本線は電鉄富山駅から東側の延長約1キロ(うち高架構造約0・7キロ)が対象となる。あいの風とやま鉄道と地鉄本線を高架化することで、市が進めてきた路面電車南北接続のほか、鉄道と交差する道路の拡幅・新設など南北一体的なまちづくりや富山駅周辺の利便性向上、にぎわい創出が一層図られる。26年度中の工事完了を目指す。施工は佐藤工業・大鉄工業・富山地鉄建設JV。
今月5日に開かれた富山駅周辺連続立体交差事業促進期成同盟会の今年度総会で、あいさつに立った藤井裕久富山市長は「富山駅周辺連続立体交差事業は、19年にあいの風とやま鉄道鉄道線の全線高架化が完了し、市は富山駅南北自由通路や路面電車南北接続、北口駅前広場の供用開始など、関連事業の整備を着実に進めてきた。これらの取り組みにより富山駅南北の往来が活発化するとともに、駅周辺における民間商業施設の開発やイベントの開催も盛り上がっており、駅を中心とした人の流れが大きく変化してきた」と振り返るとともに、今後について「オーバードホール中ホールの開館やブールバール広場の完成を予定し、南北一体的なまちづくりへの機運はますます高まっている」と高揚感をにじませた。こうした中、地鉄本線高架化の起工式が行われたことに触れ「高架橋工事が着手され、新幹線開業から続くこの好循環を持続、拡大し、さらなる都市の発展につなげるため、引き続き着実な事業推進が必要となっている。同盟会では関連事業の早期完成に向けて、みなさまと一致団結していきたい」と決意を新たにしていた。
富山駅周辺では、オーバードホール中ホールが7月1日に供用開始し、隣接する複合施設「(仮称)Dタワー富山」が来年3月にオープンを予定している。市は「駅西にも人の流れができることが予想される。富山地鉄本線高架化後も土地区画整理事業などを推進していきたい」と意欲を示している。