高知県は6月12日、高知龍馬空港の国際線を含む新ターミナルビル整備に向けた検討を行う第8回高知龍馬空港・航空ネットワーク成長戦略検討会議(会長=井上浩之副知事)を開いた。空港、出入国や検疫(CIQ)、航空会社の関係者などが出席して意見を交わし、2025年度に開催する大阪・関西万博と時期を合わせて整備を行う方針を打ち出した。基本構想を見直し、規模を縮小した新施設を設けるか、既存施設を改修するかの2案を示し、今後調整する。
現状の課題や直近の国際定期チャーター便就航実績などから、整備手法案として@「高知龍馬空港施設基本構想」をベースに面積の縮小や建築仕様などを見直した上で新たな施設を整備するA25年までの整備完了を目指して、整備する機能や規模を最小限とし、新施設は設けずに現ターミナルビルの改修にとどめる―の2案が提示された。今後は整備案や条件を検討し、9月までに具体手法をまとめる。
20年2月にまとめた基本構想では、延べ床面積約4000平方b、整備費約29億円の国際線専用ターミナルビルの新設を想定していた。基本設計者を選定するための公募型プロポーザルを公告していたものの、同時期に新型コロナウイルス感染症が流行。国際線の需要回復には年月がかかることを踏まえ、プロポーザル手続きを中止した。
しかし航空需要が回復基調となっていることや、国際航空運送協会が25年までに国際線の需要がコロナ前の水準まで回復するとの見通しを示したことなどを受け、22年度から検討会議を再開している。
前回会議で出た意見を踏まえ、現ターミナルビル東側に仮設の入国審査施設を設置し、5〜10月までの期間限定で台湾桃園国際空港と高知龍馬空港を結ぶ国際定期チャーター便の就航を行っている。6月7日時点の実績では、搭乗率は約9割と好調に推移。井上会長は「現状は期間限定だが、将来的には定期便化も見据えている。国際便は他県との競争もあり、スピード感を持って整備の方向性をまとめたい」と話した。
提供:建通新聞社