川崎市は、3月に入札不調となった川崎市立労働会館の改修工事について、再発注に向けた対策とスケジュールを9月までに取りまとめる。9月議会の承認を得て工事を発注する見込みで、早ければ2023年度末から24年度初めごろの契約を目指す。建設業者へのヒアリングでは、材料費など建築コストの高騰、経済活動が回復したことによる手持ち工事の増加、時間外労働の上限規制の適用に伴い受注を控える事業者が増えたことなどが不調の要因として挙がっている。今後はより多くの業者が入札に参加できるよう対応を検討していく。
今回の工事では既存の労働会館をスケルトン改修して川崎市教育文化会館の機能を集約し、「(仮称)川崎市民館・労働会館」として整備する。1月10日にWTO対象の総合評価一般競争入札を公告。3月23日、24日、27日に開札したが不調に終わり、関連する電気、空調、衛生設備工事の入札も中止した。7月の工事着手、25年1月の供用開始を予定していた。
市内工事の実績がある建設業者などにヒアリングを実施し、不調の原因を調査。内装工事で使用する木製品や金属製品の材料費が設計から入札までの間で高騰したこと、同じく労務費も直近1年間で大きく上昇したことが原因の一つとして上がった。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していた事業が再開したことにより本年度の手持ち工事が増えたことや、24年度から時間外労働の罰則付き上限規制が適用されるのを想定して工事の受注を控える事業者が増加していることなども不調の要因とした。
今後は工事の再発注に向けて、材料費や労務費を見直すとともに、施設の状況や既存内装の解体方法などを明確に示す。競争性を確保するため、入札条件も再検討する。
今回の不調に伴い、施設の供用開始は1年程度遅れる見込み。
改修工事に向けては、19年度から20年度にかけて基本計画を策定、21年度から22年度にかけて実施設計を行った。22年度の予算では整備にかかる事業費を約49・6億円としていたが、コロナ禍やウクライナ危機などに伴う資材高騰で約8億円、防災やBCP対策、耐震対策などを実現するための配置計画や設備の導入で約12億円を増額した。
川崎市労働会館は鉄筋コンクリート造地下1階地上5階建て延べ9606平方b。所在地は川崎区富士見2ノ5ノ2。
提供:建通新聞社