女性活躍推進法の施行を受け、各企業の取り組みが加速している。厚生労働省の「えるぼし」は、3月末時点で2176社が認定。うち県内企業は13社で、建設業関係では、2018年8月のSYSKENに続き、今年3月に開成工業、4月に丸昭建設が認定された。職場環境改善やイメージアップ、担い手確保に繋がるものとして広がりを見せ始めた。
■3段階で評価
「えるぼし認定」とは、女性の活躍促進に関係する状況などが優良である企業を厚生労働大臣が認定する制度。@採用(女性の割合)A継続就業(男女別の平均勤続年数)B労働時間等の働き方(時間外労働と休日労働の合計時間数)C女性の管理職比率D女性の多様なキャリアコース―の評価項目があり、項目数に応じて3段階に分けられている。より優良な取り組みとして「プラチナえるぼし認定」もある。
認定事業者は、厚労大臣が定める認定マークを使用でき、女性活躍を推進していることをPRできる。
建設業においては、23年の経営事項審査改正で、社会性等の評価に「ワーク・ライフ・バランス(WLB)に関する取組状況」が新設され、くるみん(次世代法に基づく認定)、ユースエール(若者雇用促進法に基づく認定)とともに、加点対象となった。自治体によっては、主観点や総合評価点で加点する取り組みも始まっている。
7日には、熊本労働局で開成工業(コ安正範社長、熊本市)と丸昭建設(松村陽一郎社長、人吉市)に、新田峰雄局長が認定通知書を交付した。
新田局長は「22年4月から、労働者数が101〜300人の事業主も女性が活躍できる行動計画を策定・公表することが義務付けられるなど、企業での女性活躍を推進する取り組みの重要性はますます高まっている」と挨拶し、機運の醸成に期待した。
■4課の課長は女性(開成工業)
開成工業は、約2割を女性が占め、総務課、営業企画課、製造管理課、施工管理課の課長は全て女性。コ安社長は「仕事ぶりも素晴らしく活躍して頂いている」と評価し、「将来は部長や役員になってほしい。そのためにも経験を積める機会をつくっていきたい」と意気込む。
昨年度は、女性社員が熊本県の若手建設技術者表彰に選ばれた。水門の溶接には特殊技術が求められるが、県の溶接競技大会でも優秀な成績を収め、国家資格の鉄工技能士も取得するなど、女性が前向きにチャレンジしている。「男女問わず、社員の成長が会社の成長に繋がる。社員が成長した分だけ会社が伸びる。今後もしっかりと働き方改革や職場の環境整備に取り組んでいきたい」と話す。
■女性16人のうち7人は管理職(丸昭建設)
「女性管理職が中心となって、女性でも技術者や管理職になれるという考え方で社員を引っ張っている。建設業に向けられる目は、まだ変わっていない面もあり、払拭していきたい」と話すのは丸昭建設の森博顕専務。女性16人のうち7人が管理職を務めている。女性技術者の育成・活躍を推進し、土木と建築の現場に女性技術者が2人ずつ在職している。
令和2年豪雨災害からの人吉球磨の復興は道半ば。「地元での新規・中途採用に尽力しているが、地域柄か外に人が流出してしまう」と憂慮しながらも、「今回の認定を機に、女性雇用の促進、そして会社の発展に繋げたい」と力を込める。
提供:
西日本建設新聞社公式フェイスブックページ:「
記者 建設探訪」