建通新聞社
2023/06/08
【大阪】近畿監理課長 働き方改革への対応など
国土交通省近畿地方整備局管内の入札契約担当課長らが一堂に会し、入札契約の課題について意見を交わす近畿ブロック監理課長等会議(2023年度上期)が、6月6日に大阪市中央区の大手前合同庁舎で開かれた。技能労働者の処遇改善をはじめ、資材など価格高騰に対する円滑な価格転嫁、週休2日工事の取り組み状況、不調・不落対策、生産性向上のための実施状況などについて各担当者が情報提供。公共工事の品質確保と担い手育成・確保に向けた取り組みを、さらに促進することを申し合わせた。
近畿地整の西野仁建政部長は、あいさつの中で「担い手の確保と育成が重要な課題となっている中、建設業界の処遇改善を一層進めていく必要がある。府県政令市の皆さんと足並みをそろえて取り組んでいかなければならない重要なテーマだ」との認識を示した。その上で、「府県政令市だけでなく、市町村においても必要な対策。整備局としても管内市町村に対して、技能労働者に対する処遇改善の各種取り組みが進むよう働き掛けていく」と述べた。
国交省不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の津國眞明課長補佐は、技能労働者の処遇改善に関して「設計労務単価が11年連続で引き上げられつつも、平均賃金はその伸びに及んでいないという指摘もある。広く行きわたらせるためには、まず企業が適正な利潤を確保することが重要だ。そのためにもダンピング受注は防がなければならない」と早急に取り組むべき課題を指摘した。さらに、「国交省が昨年8月に立ち上げた持続可能な建設業に向けた環境整備検討会では、建設工事の請負契約の在り方や、重層化した下請け構造において、どのように賃金を行きわたらせるかなど、建設生産システムの根本に関わる課題について議論した。今回は、さまざまな諸課題について幅広く情報を共有し、皆さんとともに建設業行政を前に進めていきたい」と述べた。
テーマの一つである週休2日の取り組みについては、国交省側が中央建設業審議会が作成・勧告した「工期に関する基準」(20年7月)や、直轄工事で原則全ての工事を対象に活用している余裕期間制度について説明。続いて、地方公共団体や民間発注者にも周知していることを伝えた。各団体からは、「21年度は試行、22年度は本格実施に移行した」「23年度は発注者指定型を増やす。24年度は原則全ての工事に適用する」など、順次取り組みを進めていく方針が示された。一方、学校などの教育施設を多く管理する政令市では、「土木工事では進んでいるが、営繕工事では、夏休み期間や土日での施工を余儀なくされるケースもあり、なかなか進んでいない」といった報告もあった。これに関しては、教育部局とも連携し、工夫して、週休2日の取り組みを促進していくことを確認した。
今回の会議では、公共工事の品質確保と担い手の中長期的な育成・確保を図るための@技能労働者などの処遇改善A公共工事の円滑な施工確保(適切な設計変更・契約他)B不調・不落対策C都道府県公契連を活用した市町村における入札契約改善C建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進―に努めることを申し合わせた。