建通新聞社
2023/06/07
【大阪】関西地区 公共工事の諸課題で意見交換
国土交通省近畿地方整備局をはじめ関西地区の各公共発注機関と日本建設業連合会との「2023年度公共工事の諸課題に関する意見交換会」が6月5日に開かれ、働き方と担い手の確保をはじめ、品確法の的確な運用、生産性向上、公共工事の適正かつ効率的な実施―の四つのテーマを中心に、受発注者双方の立場から意見を交わした。あいさつの中で、近畿地整の渡辺学局長は「担い手の確保、技能者・技術者の処遇改善、働き方改革、2024年問題にしっかり対応していく」との考えを示した。日建連の押味至一土木本部長は、新4Kの実現によって「建設業の魅力を向上させ、未来の担い手を確保していきたい」と強調した。
近畿地整の渡辺局長は、公共事業予算の確保について「現在国会で国土強靱(きょうじん)化基本法改正の議論が進められている。地整としてもしっかり注視しながら、現在の強靱化予算の執行と、次期計画の策定に取り組んでいきたい」との姿勢を示した。
また、働き方改革や24年問題への対応に関連して「近畿地整の直轄工事では23年度から原則、維持工事を除く全工事を対象に法定休日・所定休日を現場閉所とし、さらに予定価格が3億円以上の工事は祝祭日も現場閉所とする取り組みを進めていく」と説明した。
さらに、「週休2日や残業時間の縮減に向けては、まず適正な価格や工期の設定が基本。受発注者間のコミュニケーションを強化して、具体的に課題を改善していきたい」と述べた。併せて、直轄だけでなく「自治体の取り組みも重要。国がリーダーシップを取って(全体での)普及に努める」との考えを示した。
開幕まで2年を切った大阪・関西万博については、「関西を元気に、そしてそれを日本の元気につなげる大事なイベント。成功に向けて皆さんと協力していきたい」と呼び掛けた。
日建連の押味土木本部長は、日建連が掲げる重点方針に関連して、「まず新3Kに『かっこいい』を加えた新4Kを実現して建設業の魅力を向上させ、次世代の担い手を確保すること。設計労務単価の引き上げや、技能労働者のさらなる賃上げという好循環によって、他産業を上回る賃金水準を実現することができるよう、引き続き努めていく」とし、発注者側にも支援を求めた。
時間外労働の上限規制については、「受注者として企業努力を続けていく」と述べるとともに、「発注者と共同で取り組んできた現場の生産性向上に資する施策をさらに加速させ、4週8閉所や完全週休2日の浸透などの取り組みも強化していく」と強調した。
併せて、「近年の豪雨災害をはじめとする自然災害の激甚化・頻発化により、毎年のように全国各地で甚大な被害が発生している。今、国土強靱化の継続的な推進に向けて、ポスト5カ年加速化計画の検討が進められている。日建連として着実な執行に対応するとともに、その重要性を社会に発信していきたい」と述べた。