建通新聞社
2023/05/29
【大阪】大建協 錢高会長 働き方改革推進へ
大阪建設業協会の錢高久善会長は、5月25日に開いた2023年度定時総会後に記者会見し、24年4月に控える建設業の時間外労働の上限規制適用に対して、「公共・民間を含む発注者全体で理解を得られるよう、適正な工期設定などについて周知啓発活動を進めていきたい」と述べた。
錢高会長は、働き方改革の推進に関して「大建協として『4週8休、残業月45時間以内を年6回』を目標に、各会員企業に取り組みをお願いしていく。併せて、会員作業所の労働時間の現状について調査し、関係機関に報告できれば、民間発注者の理解促進にもつながっていくのではないか」と述べた。
建設資機材の価格高騰に対しては、「特に民間工事では十分に価格転嫁が成されていないようだ」とした上で、「国土交通省や中央建設業審議会でも多様な契約制度についての議論がある。経済情勢を見据え、われわれも勉強していく必要がある」との認識を示した。また、「公正取引委員会の調査によると、建設会社から発注者に価格転嫁を要請した割合は6割未満だったという結果報告がある。関係機関の協力を得ながら、引き続き理解を得られるよう努めていかなければならない」と述べた。
さらに、「大きな課題」と指摘する工事の品質確保について、「熟練技能労働者がこれから離職していく中で、建設産業全体でどのように品質保証を行っていくか。監理業務についてさまざまな議論がある中で、負担に応じた適正なフィー、あるいは手法に合った適正な経費を、監理者や請負者が得ているだろうか。品質保証のための工事監理と、効率よく仕事をしていくための現場管理について、産業全般で問題意識を持って、適正なかたちを見いだすことができないか」と提起した。
この他、23年度の活動方針に関連して「建設現場の面白さをどう学生に伝えていくべきか。コロナ禍では建設現場に接する機会が少なかったと思う。これからは会員の現場に足を運んでもらう機会を設けたい。またXRといった新たなコンテンツを活用して、工事現場の魅力を感じてもらえるような仕掛けも考えていきたい」と意欲を示した。
〜働き方改革「適正工期が必須」〜
同じく会見に臨んだ中道正伸副会長は、会員の中小・中堅企業の働き方改革について、「主に民間建築工事が主体であり、4週8休の工程を行う上で、請負工事の適正な工期の設定が必須の条件だ」と指摘。そのため、「意見交換会などを通じ、関係行政機関などに公共工事と同様の対応を(民間発注者などに)求めていきたい」と述べた。