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滋賀産業新聞
2023/05/29

【滋賀】多賀町 木曽池の耐震化改修

 多賀町が、多賀町ため池ハザードマップに基づき実施する木曽地先の「木曽池」を耐震化する改修整備は、町が委託し21年度から繰越し延長となっていた測量設計業務は22年度末で完了し、現時点では22年度に予定していた申請手続きを23年度に行いたい考え。申請が順調にいけば、当初計画から1年遅れとなる24年度の新規事業採択となり、同年度に県湖東農業農村振興事務所から詳細設計が発注され、25年度にも初弾工事の発注・着工―へと進む見通しだ。
 木曽水利組合が管理し農業用水などに利用されている「木曽池」は、上流側の小規模な池と、中間の「昭和池」(堤長50b、堤高10b)、下流側の最も大きい「昭蓮寺池」(堤長70b、堤高10b)―の3連の池で構成し、貯水量は3池合わせて約1万1000立方b。老朽化が進み14年度に実施した耐震診断で耐震化を要する判定結果を受けている(担当コンサル=パスコ滋賀支店・大津市)。
 耐震化に向けた改修工事の対象となるのは現時点では「昭和池」および「昭蓮寺池」で、町ではこの2池を対象とする測量設計を21年度に同じくパスコに委託したが、豪雪等現地条件の不良などで22年3月10日までの委託期間中に完了出来ず、23年3月末まで期間延長し、繰り越しで業務を完了した。22年度にまとめた測量設計に基づき、23年度は新規事業採択に向けた手続きまでを町で行う考え。順調にいけば24年度の新規事業採択をもって県湖東農振に所管が移り、詳細設計、工事発注となる予定。
 木曽池は、昭和初期に谷をせき止め築造され、豊富な貯水量と自然環境で現在では農業用水はもとより動植物の生育環境としての役割も担う。しかし築造後100年を迎えた近年では施設の老朽化がみられ、耐用能力を超える大雨や大規模地震が発生した場合、堤防が決壊し下流に大量の水が短時間で至る可能性が「多賀町ため池ハザードマップ」でも指摘されている。過年度、県によって池の下流に砂防ダムが整備され想定被害は小さくなったが、池の下流域は名神高速道路や国道306号、工場や宅地があり、依然懸念されている。

提供:滋賀産業新聞