川崎市は、国史跡橘樹官衙遺跡群の第2期整備を2024年度から開始する見通しだ。庁内の検討を踏まえて延期する可能性もあるが、第2期整備の基本設計を24年度、実施設計を25年度、工事を26年度に着手する考え。第1期として本年度からたちばな古代の丘緑地の整備や建物の復元工事などを進めており、年度内の完成を予定している。
高津区と宮前区にある国史跡橘樹官衙遺跡群は、武蔵国橘樹郡の役所跡である千年伊勢山台遺跡と古代の寺院跡である影向寺遺跡で構成する。7世紀から10世紀にかけての重要な遺跡であることが確認され、15年3月に市内で初めての国史跡に指定された。
19年1月に「国史跡橘樹官衙遺跡群整備基本計画」を策定。市民に史跡の存在を広く周知し、価値や内容を体感できる場を提供するため、第1期から第3期の10カ年で史跡広場などを整備する計画を示した。
「影向寺ゾーン」「橘樹郡家跡上原宿ゾーン」「橘樹郡家跡伊勢山台・蟻山ゾーン」「橘樹郡家跡谷戸ゾーン」の4地区に分けて進める。
第1期は19年度から21年にかけて基本設計と実施設計を行い、22年度から工事に着手した。「橘樹郡家跡伊勢山台・蟻山ゾーン」地区内で国史跡に指定される以前に整備工事を行って供用開始している「たちばな古代の丘緑地」とその周辺区域を広場として整備。芝生や園路、案内版を整備する他、史跡があることを柱などで表す立体表示を行う。史跡橘樹官衙遺跡群のシンボルとして、園内で建物1棟を復元する。
広場の整備はKEIHIN(川崎市川崎区)、復元工事は風基建設(東京都新宿区)が担当している。
第2期では橘樹郡家跡伊勢山台・蟻山ゾーンの北東側で多摩川を展望できる広場を整備する。対象区域は約2000平方b程度。芝生や園路を整備する他、展望デッキや説明版の設置などを予定している。
この他、「影向寺ゾーン」では区域内にある影向寺が境内の整備を計画している。園路や植栽、史跡があることを表す平面表示などの設置が見込まれる。
第3期は27年度からを想定しているが、第2期の工事の進捗状況を踏まえて検討する。
提供:建通新聞社