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北海道建設新聞社
2023/05/23

【北海道】道がドローン活用を加速 3D測量や海藻空撮調査など

 道農政部と水産林務部は2023年度、ドローンの活用を一層促進する。農政部はドローンを含むICT機器で3次元測量データを取得し、出来形管理などを試行する。水産林務部は、水中の海藻を空撮画像から見分ける技術開発に取り組み、治山の資材運搬にドローンを使う。24年度から始まる建設業の時間外労働規制や入職促進を見据えた省力化への貢献が見込めるほか、脱炭素社会形成の面でも活躍が期待される。
 ドローンをはじめとするICT機器で施工・管理を次の段階へと推し進めるのは農政部。23年度から総合局・振興局の一部農業農村整備で、ICT(情報化)モデル工事を発注。起工測量の時点で空撮やレーザースキャナーを用いた3次元データを取得し、3次元設計データを作成することで、重機の自動操縦化などに利用する。機器導入にかかる費用は発注者が設計変更で負担することで、取り組みを後押しする。
 水産分野では、水産振興課が室蘭工大と連携し、ドローンによる空撮画像から水中の植生を見分ける仕組みを研究している。
 20―22年度に道内5地区で調査し基本的な判別システムを構築した。その結果、海洋性植物を見分けるため基準とする植物ごとの色合いが、地域によって微妙に異なることが分かった。23年度からは範囲を渡島管内に絞り、自生する海藻であるチガイソとコンブの差を判別するための基準づくりを進める。
 道が脱炭素化に向けて構築を検討するブルーカーボン生態系において、コンブをはじめとする海藻、海草は中心的役割を果たす。効率的に生態系を構築するには正確な水中環境の把握が不可欠だ。道水産振興課の担当者は、ブルーカーボンを構築する場合、画像解析による水中植生判断を活用するかは「選択肢の一つ」と位置付けている。
 森林整備では、ドローンの機動力を活用する。23年度発注工事の一部でドローンによる資材運搬などを試験実施する。建設業全体で、24年度から始まる時間外労働規制への対応は急務だが、特に治山工事の施工環境は過酷になりがちだ。そこで、10`ほどを上限に一部資材をドローンで運搬し省力化を図る。渡島、胆振、日高、十勝で発注する工事で試行する見通しだ。
 ドローンの登場以降、国や受注者を中心にその活用方法について研究が進んできたが、道も本格運用の機運が高まってきた。広大な本道で効率的な施工、調査を可能にする手段として期待が掛かる。