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滋賀産業新聞
2023/05/18

【滋賀】県土交部 新部長・三和氏インタビュー

 今春、滋賀県土木交通部長に就任した三和啓司氏に、県の土木交通行政について話を伺った。

 ―部長就任おめでとうございます。早速ですが今のお気持ちを聞かせてください

 三和部長(以下、部長) 大変、身が引き締まる思いです。自分なりの色を出しながら精一杯頑張っていきたいと思っています。土木交通部では県が掲げる「シン・ジダイ」と連動し、「シン・土木交通部の挑戦」をコンセプトに、「新」「進」「伸」など、それぞれの「シン」とは何かを問いかけ、今年らしさ滋賀らしさを見せられる1年にしたいと思っています。

 ―具体的なチャレンジ内容は

 部長 今年度、特に取り組んでいく内容として、三つ考えています。
 一つ目は「都市計画基本方針」、「道路整備マスタープラン」に続く、まちづくり3部作の総仕上げとなる「滋賀地域交通ビジョン」の策定です。策定の過程においては、特に若い人たち、子育て世代の方々の意見を丁寧に取り入れ、地域交通の維持・活性化につなげていく方針です。二つ目は公園の魅力向上です。部内に「公園魅力向上推進室」を新設し、今年度を「しがの公園・魅力向上元年」と位置づけて、ポテンシャルの高い滋賀の公園の魅力を最大限に引き出し、真に愛される公園を目指して、部局を超えた検討を進めてまいります。三つ目は、カーボンニュートラル・CO2ネットゼロ施策の推進に資する「グリーンインフラ」の取組みです。昨年度には事例集を作成し、今年度は有識者の方々の意見も聞きながら、滋賀らしい取組方針案を取りまとめる予定です。

 ―ありがとうございます。今年度の入札制度改革についてはいかがですか
 部長 県では、昨年度に入札参加資格審査申請業務を電子化し、本格運用を始めました。今年度からは、年度途中においても新規参加を希望される方の申請を受付けられるようにしたところです。主観的評価項目については、昨年4月に公表した改正方針に基づき見直しを進めてまいります。経営事項審査により評価対象となったエコアクション21及び次世代育成支援対策推進法に基づく基準適合一般事業主の認定(くるみん認定)については、客観点数と主観点数両方で加点対象となる項目のため、今年度から総合点数で現行の加点となるよう改正を行いました。また、さらなるICTの推進のため、総合評価工事において従来の土工及び舗装工に加え、新たに小規模土工や法面工、舗装修繕工等をICT工事の評価対象に加え、生産性の一層の向上を図ります。

 ―今年度の大型所管事業を教えてください
 部長 道路関係では、大津能登川長浜線(山手幹線)において、橋梁上部工や補強土壁工などを幅広く展開しています。今年度は舗装工や道路付属物工等の発注を予定しています。河川関係では、葉山川(栗東市)、百瀬川(高島市)等の天井川の改修工事、安曇川(高島市)の堤防補強工事などを実施予定です。建築関係では、老朽化した今堀県営住宅(東近江市)の建替え工事を予定しています。

 ―安全・安心を支える地域づくりについてどうお考えですか
 部長 まずは、県民の皆さんの生活を支えるインフラの整備、維持管理をしっかりと進めてまいります。その上で、特に水災害、土砂災害対策については、国の流域治水の取組等と連携しハード・ソフト一体となった対策を進めます。また、昨年度課題となった大雪時の交通対策なども含め、安全・安心を支える各種施策を進めてまいります。その際には、現場のプロである皆様のご意見も伺いながら、従来の発想にとらわれない、柔軟で新しい感覚をもって取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ―最後に、建設業活性化についてお願いします
 部長 建設業においてもDXの推進が必要と感じています。働き方改革にも資する建設現場の遠隔臨場やリモートによる設計・協議等を一層進めてまいります。営繕工事では、昨年度からBIMシステムの導入を始めましたが、今後も職員への研修、課題の整理を行いながら、更なる活用を図ります。また、担い手確保の観点からは、業界の皆さんと連携し、出前授業や現場見学会を開催して、建設業の魅力発信に一層努めていきたいと思っています。県が開設しているYoutubeチャンネル「いなずまどぼっく」では、昨年度、職員が制作した橋梁上部工架設の紹介動画が、驚きの53万回再生(令和5年5月現在)を記録しています。今後もあらゆる手段、観点から魅力発信に努め、建設業の活性化、さらには安全・安心な県土形成を、皆さんと共に進めて行きたいと考えています。

 ―ありがとうございました

― ◇ ―

 三和啓司氏は、昭和61年3月に神戸大学工学部土木工学科を卒業後、同年4月に滋賀県庁に入庁。筑波大学大学院環境科学研究科で学び、滋賀県の道路景観をテーマとした研究を行い平成4年3月に修了。その後は、平成27年に土木交通部砂防課長、平成28年に土木交通部道路課長、平成31年に大津土木事務所長、令和2年に土木交通部次長、令和4年に土木交通部理事(公共事業調整担当)を経て、本年4月に県土木交通部長に就任した。

提供:滋賀産業新聞