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建設新聞社(長崎)
2023/05/17

【長崎】長崎港元船地区整備構想検討着手

港湾と観光・交流を含む長崎の海の玄関口に
   貨物上屋を集約 賑わい創出施設へ土地利用転換も


 港湾機能だけでなく、観光・交流を含めた長崎の海の玄関口≠フ在り方を示した『長崎港元船地区整備構想』の策定に向けた具体的な検討が始まった。県が15日に同地区の整備構想検討委員会(議長・平田研副知事)の初会合を開き、国や長崎市、事業者、地元関係者などと整備構想のコンセプトや整備のイメージなどについて話し合った。


 離島航路などの旅客ターミナルや貨物上屋といった施設が大規模商業施設(夢彩都)の周囲に立地する元船地区は、施設の老朽化が進み、バリアフリーにも対応していないだけでなく、荷捌きの効率性やフェリーの安定運航の面でも課題がある。さらに、交通面で▽車両の輻輳・渋滞▽歩行者の回遊性不足・安全性。観光・交流機能でも▽臨海部としての賑わい不足▽観光クルーズ発着所の点在と待合所の不足▽緑地空間不足▽海への展望場不足―といった課題が指摘されている。

 整備構想は、これらの課題解決に向けて策定するもの。15日の会合では、地区の現状・課題や周辺計画、アンケート結果などを踏まえたコンセプト案を事務局が提示。『長崎・元船OASIS(Ocean,Amuse,Ship/Seafood,Intersect/Island,Space)〜海と船の楽しさ感じる、島と食と人との交流空間〜』として、海上交通の要所としてのさらなる発展や、観光客や地元利用者が楽しめる海と船と島と食≠ノよる人々の交流空間の創造を目指すもので、案の通り承認された。

元船地区整備のイメージ その上で、整備の在り方を考えるポイントと、これを踏まえた整備のイメージをまとめた。具体的には▽国内ターミナル機能などの強化による利便性向上▽臨海部を生かした観光・交流機能などによる賑わいの創出▽車両や歩行者にとって優しいみちづくりによる利便性向上▽港・海が感じられる景観による魅力の向上▽公共・民間が連携した整備・運営・維持管理の実施による質の向上―で、ターミナル機能を西側に集約して岸壁との一体的利用と機能転換を図るほか、観光・交流機能を東側に配置し、南北と連動させることで、町と一体となった賑わい創出を目指す考えだ(イメージ参照)。

 地区内の既存施設のうち、ターミナルは利活用して周辺施設と連携、立体駐車場は解体し、必要台数を確保した新駐車場を整備。貨物上屋は撤去し、機能を集約して再配置。築後50年以上経過している大波止ビルは撤去し再整備を想定している。

 このうち貨物上屋は、元鮒地区に就航する海上定期船の利用のみとし、地区北西側に集約。B棟とC棟合わせて延べ約9300平方bあった上屋を、約2000平方b程度にする。併せて、フェリー(人流・物流用)の上屋機能を設けることも想定している。上屋の集約で生み出されたエリアは、賑わい創出施設としての土地利用転換も可能とする。

   8月にPFI導入へ サウンディング実施

 県では8月をめどに、同地区の整備手法を検討する一環として、PFI事業導入に関する民間事業者サウンディングを開始。サウンディングは、元船地区のうち夢彩都などを除いた県有地部分の施設・機能が対象だが、当然、夢彩都との連携も想定している。

 その上で、9月に予定している第2回整備構想検討委員会で、地区内の施設配置計画案や整備構想の素案を審議。パブリックコメントを経て、12月に第3回検討会を開き、整備構想案を検討し、2023年度中に整備構想を策定・公表する計画だ。
ksrogo