多賀町は、多賀地区で高宮財産区が管理する地域防災計画の重要水防ため池「奥谷田池」について、耐震化に向けた改修整備を計画。23年度は当初予算に措置した耐震化調査業務費2500万円に基づき近くコンサル業務を発注・委託し、年度内をメドにまとめる調査結果によって24年度にも県協議等を経た後、申請手続きを行い、順調にいけば25年度の事業採択を目指す方針。事業採択後、町の所管となれば町が、県の所管となれば県が、26年度にも詳細設計を発注し、27年度にも初弾工事の発注・着工―へと進む見通しだ。
23年度当初予算には土地改良事業費総計4674万3千円を措置し、このうち奥谷田池耐震調査業務委託費に2500万円、佃池改修設計費に計1600万円(23年度分800万円および22年度繰り越し分800万円)―をそれぞれ計上。
「奥谷田池(高宮池)」は、農業用水の確保を目的に、江戸後期に谷をせき止めて築造され、現在は豊富な貯水量による利水はもとより動植物の生息・生育環境としての貴重な役割を担っている。池の規模は堤長120b、堤高6b、満水時水深5・5b、貯水量約13万3000立方b。
築造後200年以上が経過し近年では堤体の老朽化もみられ、施設の耐用能力を超える大雨や大規模な地震が発生した場合、堤防が損傷し決壊に至る可能性があり、万一ため池が決壊した場合、池の下流に一度で大量の水が押し寄せる危険性が「多賀町ため池ハザードマップ」でも指摘されており、現在は堤防から3・5b水位を下げ、決壊の危険性を低減させる「低水管理」を行っている。
20年3月作成の「多賀町ため池ハザードマップ」におけるはん濫シミュレーションでは、奥谷田池のごく近くの範囲には災害時収容病院や人家等があり建物2階以上への避難を推賞する「危険度U」、それ以外の一帯では床下浸水程度の「危険度T」を示している。
提供:滋賀産業新聞