環境省は第3回脱炭素先行地域として全国から16件を選定した。このうち四国内では高知県内の須崎市・日高村、北川村、黒潮町の3地域(4市町村)からの提案を選んだ。選定された各自治体では、2030年度までの脱炭素化を目指し、再エネ設備や基盤インフラ、省CO2設備などの整備に向けた交付金を受け事業を進める。
須崎市は日高村やJA土佐くろしおなどと共同で「特産農産物施設園芸の脱炭素化・付加価値向上と地域連携型の再エネ拡大・レジリエンス強化の実現」を提案した。須崎市と日高村が共同出資する地域新電力会社「高知ニューエナジー」が主導するPPA(電力販売契約)事業により、住宅やJA関連施設、公共施設を中心にオンサイト太陽光発電、遊休農地や駐車場などにオフサイト太陽光発電・蓄電池を導入する。須崎市の体育館3施設や、ZEB化を予定している給食センターに地下水熱利用空調設備、JA関連7施設には高効率空調設備・照明を取り入れる。
また日高村では点在した遊休農地に設置した太陽光発電・蓄電池を結ぶ自営線を敷設し、温水を農業ハウス23棟に熱導管を通じて供給する。須崎市では農業ハウス331棟の空冷式ヒートポンプを地下水熱利用設備に置き換えるなど複数の手法を組み合わせ省エネ化を進める。
北川村は、四国電力や電源開発、JA高知県北川支所などと共同で「“持続可能な人口1000人の村”モデル構築に向けた北川村版脱炭素事業推進プロジェクト」を提案した。小水力発電・太陽光発電の導入を進め、村全体の脱炭素化を目指す。本庁舎や学校のZEB化、公営住宅のZEH化を進め、住民などへの補助金も創設する計画となっている。
黒潮町は京都大学防災研究所などと共同で「再生可能エネルギーを活用したゼロカーボン防災型まちづくり〜カルテを使った住民と創る町全域の脱炭素計画〜」を提案した。「脱炭素カルテ」を作成し町内全戸を訪問、各家庭に合った省エネ・再エネ設備導入を促進する。さらに福祉施設や避難施設に太陽光発電・蓄電池を導入し、避難行動要支援者の個別避難計画とも連携し、津波避難対策と脱炭素事業の相乗効果を目指す。
四国内では既に昨年4月の第1回脱炭素先行地域に高知県梼原町が選ばれており、今回の選定で4地域、5市町村が対象となる。
提供:建通新聞社