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建通新聞社(静岡)
2023/05/12

【静岡】県が相談窓口 残土処理施設整備を支援

 静岡県は、建設発生土の利活用や適正処分を支援するための相談窓口を設置した。4月に交通基盤部内に設置された窓口には、新たな残土処分場やストックヤードの整備を計画している建設業者や廃棄物処理業者らが、法令上の手続きなどに関する相談に訪れている。盛土条例上の住民説明に対し、県の協力を求める企業もいるという。県は建設発生土の利活用に向けて「県発注工事で使用する土質改良土の品質に関する相談にも応じる」(技術調査課)と話す。
 県内では、盛土条例の施行後に残土の受け入れ費用の高騰や処分場の閉鎖などの事態が生じ、残土処分の容量不足が顕在化した。県は、建設発生土の処理に関する基本方針を策定し、発生抑制・利活用・適正処分を柱に建設発生土の有効利用率の向上を目指すとしている。
 相談窓口は、こうした方針も踏まえ、新たに残土処理施設を設置する民間企業を支援する目的で4月に設置された。処分場を新設するためには、砂防法や砕石法、砂利採取法といった法令上の手続きの他、昨年7月に施行された盛土条例の許可も必要。こうした法令・条例上の手続きを技術面で県がサポートすることで、県内の処分容量不足を解消するのが狙いだ。
 すでに建設業者、廃棄物処理業者、砕石業者ら7者から、建設発生土や処理施設の立地に関連する法令の確認などの相談が寄せられている。この中には、県発注工事の建設発生土を受け入れる処理施設の設置を計画している企業から、県に盛土条例で義務付けられている住民説明への参加を依頼する相談もあるという。
 ストックヤードなど残土処理施設の設置に加え、県が建設発生土の有効利用の柱の一つとしているのが土質改良土の利用拡大だ。県は、県発注工事の盛土材に土質改良土を利用する場合の品質基準について検討しており、この基準を土質改良土の利用拡大や購入土の使用抑制につなげる考えだ。
 県は土質改良土の品質基準や基準をクリアできる土質改良プラントの新設などについての相談にも応じる考えだ。

「田子の浦港の浚渫土 県工事の盛土材に利用」

 県は、田子の浦港の浚渫土処理の過程で生成される「脱水ケーキ」を盛土材などとして利用するよう呼び掛けている。脱水ケーキを大沢川扇状地の砂礫土と混合することで、県発注工事の盛土材(路体材)として利用できる品質を確認したという。
 田子の浦港の浚渫工事からは、年間2万立法bの脱水ケーキが生成できる。この脱水ケーキは、これまでも緑化基盤材などに利用されていたが、大沢川扇状地の砂礫土との混合によって盛土材として提供できるようになった。セメント固化剤を混合すれば、より強度の強い土質改良土としての利用も可能だ。
 田子の浦港の脱水ケーキを盛土材などとして利用する場合、運搬費も県が負担するため、コスト縮減にも効果があるという。