建通新聞社(静岡)
2023/05/09
【静岡】静岡県 22年度のICT活用工事3割減
静岡県が2022年度(22年4月〜23年3月)に発注した工事のうち、ICT活用工事は94件となり、前年度と比べ32・9%減少した。21年度に続いて2年連続の減少。ICT活用工事の実施を求める「ICT導入型(土工)」として発注した工事が前年度から半減したことが主な要因。一方、ICT活用工事の実績がある企業は231社となり、前年度から9・5%増加している。
22年度の工種別の発注実績を見ると、土工が88件、舗装工が4件、地盤改良工が2件だった。県がICT活用工事の対象にしている浚渫工、基礎工、ブロック据付工の発注実績はなかった。
全体の9割以上を占める土工の実施件数は、ICT導入型が63件、受注者希望型が25件の内訳。このうち受注者希望型は前年度の16件から25件に増加しているものの、ICT導入型の実績は前年度の121件から63件へと半減している。
ICT活用工事の試行要領によると、ICT導入型は河床掘削工(土工
量1000立法b以上)や除石工を含む工事の中から、現場条件を踏まえて決定するとしている。特に河床掘削工は、国土強靱(きょうじん)化関連の国庫補助だけでなく、県単独事業でも事業量が増加しており、22年度も前年度と比べて予算規模は縮小していない。
ICT土工は、県発注工事でも従来施工と比べて作業日数を30%削減する効果が確認されている。また、ICT活用工事の受注実績がある企業は、県がICT活用工事をスタートした16年度からの累計で231社に上り、22年度も新たに20社がICT活用工事にチャレンジするなど、受注者側の受注意欲も高い。
県は、現場の生産性向上に効果があるICT活用工事を県発注工事に定着させるため、ICT導入型の要件を改めて土木事務所の職員らに周知し、ICT活用工事の積極的な発注を促す。さらに、国土交通省の土木工事標準歩掛に「浚渫工(バックホウ浚渫船)(ICT)」が追加されたことを踏まえ、県発注工事でも標準歩掛を設け、河口部の河床に堆積した土砂の撤去にICT活用工事を採用できるようにする。