神奈川県警本部は、多摩警察署の庁舎改修と別館棟の増築を行う。建築・電気・給排水衛生・エレベーター工事を一括で発注する。2023年度から25年度までの3カ年事業として実施する考えで、継続費7億6600万円を手当てしている。一般競争入札を8月にも公告する。
現庁舎の規模は、鉄筋コンクリート造4階建て延べ1975平方b。今回の改修では内部の模様替えや機能の向上を図るとともに、庁舎1階に車いすユーザーにも使いやすい「みんなのトイレ」を設置するなど、バリアフリー化も図る。現庁舎にはエレベーター棟を新設。また、各階にトイレを新設し、既存のトイレは撤去する。
川崎市が23年に発表した「洪水ハザードマップ」によると、24時間雨量410ミリbの豪雨が発生した場合、多摩川水系五反田川・二ケ領本川が氾濫。川に近接する多摩警察署は最大5b浸水すると想定されることから、現庁舎の下層階にある非常用発電機や受水槽などを上層階に移設する。
別館棟の規模は鉄骨造3階建て延べ826平方b。用地は既存の車庫棟を解体して確保。現庁舎と別館棟をつなぐ渡り廊下も新設する。現庁舎に設置するエレベーター棟と渡り廊下を合わせた延べ床面積は411平方bとなる予定だ。
別館棟の建設に先立ち23年度は排水管の切り回しなどの工事や、更衣棟の設置、霊安室の仮設などを行う。24年度以降は車庫棟・更衣棟を解体し、現庁舎を改修。エレベーター棟の新設、別館棟増築も行う。
1974年に竣工した現庁舎は、2012年に耐震補強工事を終えたが、電気・空調・給排水衛生設備などの老朽化が進行。所員数増加による執務スペースの不足や、災害の激甚化に対応するための浸水対策などが課題となっていた。当初、県警は建て替えを検討したが、適地の確保が難しく、現庁舎を増改築することに決めた。
基本・実施設計は多摩設計(川崎市川崎区)が担当。
現庁舎の所在地は川崎市多摩区枡形3ノ1ノ1。
提供:建通新聞社