2023年春の褒章受章者が発表され、新潟プレハブ工業代表取締役の河端信雄氏が黄綬褒章(業務精励)を受章した。長年に渡り宅地建物取引業に精励するとともに、関係団体の役員として業界の発展に尽力した。「空き家問題は不動産屋が動かないと解決できない重要な課題。自由な発想を取り入れ、ピンチをチャンスに変える新たな取り組みを模索していきたい」と話す河端氏に話を聞いた。
現在、全国宅地建物取引業協会連合会常務理事や新潟県宅地建物取引業協会会長、全国宅地建物取引業保証協会新潟本部長などを務める。国土交通大臣表彰に続く栄誉に「大変ありがたく、うれしく思う。今後も宅建業界の発展に向けて頑張っていきたい」と抱負を述べる。
業界が抱える喫緊の課題の1つに空き家問題を挙げ「国土交通省も力を入れて取り組んでいるが、道のりは険しい。引き続き、自治体や関係団体等と緊密に連携強化を図っていく」と力を込める。空き家問題を解消する取り組みの具体例として、インバウンド需要を見据えた民泊事業やコンパクトシティ形成などを提案する。
一方、長引くコロナ禍を受け、宅建業界にDX(デジタル・トランスフォーメーション)の動きが急速に進んでいる。賃貸借契約の重要事項説明のIT化や賃貸・売買のWEBによる重説、契約書等の電磁的方法(電子化)による提供が可能になるなど、変革の時期を迎えている。「理事会の資料をデータ化して開催するなど普及周知を図っている。導入当初は操作方法で時間を要する場面もあったが、少しずつ浸透してきた。今後もデジタル化やAI導入の動きが進むと思うが、誰もが利便性を享受できる社会実現へ貢献したい」との考えを示す。
県宅建協会の役員高齢化も深刻な問題とした上で「青年部会や女性部会を立ち上げ、若者や女性が新しい発想を取り入れる環境づくりに取り組んでいる。若手を育成して道筋を付けてから業界を退きたい」と話す。
かわばた・のぶお 1949年生まれ。74歳。福井県松岡町(現・永平寺町)出身。同志社大学を卒業後、大和ハウス工業に入社。新潟に赴任して7年勤務。その後、独立して30歳で新潟プレハブ工業を設立。2018年に建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰(不動産業関係)を受賞。趣味は古城めぐり。