横浜市温暖化対策統括本部は、市内の雨水調整池に太陽光発電設備を設置し、脱炭素先行地域(みなとみらい21地区、MM21)に電力を供給する「オフサイトPPA(電力購入契約)」への事業提案の募集を開始した。オフサイトPPAを行うのは市で初めて。5月22日まで参加を、7月31日まで提案書を受け付け、8月下旬に事業者を特定する。
12月までに事業者と協議を行い、早ければ2024年1月に事業が実施できるか判断する。実施する場合は、設計・工事を2〜3年で進めるスケジュールだ。
MM21は22年度に、国から「脱炭素先行地域」に選定された。30年度までに電力消費に伴う二酸化炭素排出の実質ゼロを実現するため、再生可能エネルギーを積極的に導入する。ただ、MM21のみでは地区内で使用する再エネを創出することは難しい。そこで、MM21のエリア外に太陽光発電設備を設置し、発電した再エネ電力をMM21で使用するオフサイトPPAを行うこととした。
候補地は市が所有する雨水調整池56カ所。事業者が候補地から太陽光発電設備の設置を希望する調整池を選択する。希望場所の重複がない場合は、複数の事業者を選定する可能性もある。
PPAは、電気需要者が発電事業者から直接電力を購入する手法。設計・工事・維持管理費用は発電事業者が負担し、設置後に電気需要者が支払う電気代でまかなう。
PPAには、電気需要者の敷地内に太陽光発電設備を設置する「オンサイトPPA」と、敷地外に設置する「オフサイトPPA」の方式がある。
これまで、市は民間事業者(発電事業者)が市内小中学校の屋上に太陽光発電設備を設置して再エネ電力を発電し、市(電気需要者)が再エネ電力を買い取り、学校で消費するオンサイトPPAを実施しており、オフサイトPPAの実施は初めてとなる。
〜大都市脱炭素化モデルを構築〜
脱炭素先行地域は、家庭や企業の電力消費に伴う二酸化炭素排出の実質ゼロを30年度までに実現するため独自の取り組みを行う、他のモデルとなる地域。50年のカーボンニュートラル達成に向けたもので、環境省が選定する。
MM21はオフィス・商業施設・住宅などに加えて、企業の本社や研究開発施設、音楽ホール、大学、MICE拠点など多様な機能が集積し、エネルギーの大消費地でもある。一方で、脱炭素化へ積極的に取り組む企業や研究開発拠点が多数立地しており、「公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデル」の構築を目指す。
脱炭素の取り組みとして、エリア内建物の屋上や、エリア外の公共施設の未利用スペースに太陽光発電設備を設置して、再エネ電力を使用することを計画しており、今回のオフサイトPPAは、MM21の脱炭素化を一歩進める事業となる。
提供:建通新聞社