東日本建設業保証富山支店は、2022年度第4回「建設業景況調査」の実施結果をまとめ、公表した。
景況調査は、建設企業の景気動向を総合的に迅速かつ的確に把握することを目的に実施しているもの。経営動向(地元建設業界の景気、受注、資金繰り、金融、資材、労務、収益の状況)と経営上の問題点について、毎年3、6、9、12月に郵送でアンケート調査を行っている。
調査に際しては、同社と取引関係のある建設企業から、地区別と業種別、規模別の分布状況を考慮し、経営動向を反映するに足りると認められる企業を対象とし、原則として固定している。
今回の県内回答企業数は計64社で、項目ごとに23年1月から3月(第4四半期)の今期実績、4月から6月までの来期見通しを算出した。
項目別のB・S・I(景況判断指数)値を見ると、「業況等」の地元建設業界の景気は今期、悪い傾向が続いている。来期は悪い傾向が強まる見通しであり、景気の先行きに対して、悲観的な回答を寄せる企業が大勢を占めた。
今期の「受注総額」は、減少傾向が弱まっており、官公庁工事および民間工事ともに減少傾向が弱まった。来期の受注総額は、減少傾向がかなり強まる見込みで、特に民間工事では減少傾向が顕著に強まる見通し。
「資金繰り」は今期、厳しい傾向が続いており、来期も同様の基調が続くもよう。
今期の「金融」は、銀行等貸出傾向で容易な傾向が続いており、短期借入金は増加傾向がやや弱まった。来期の銀行等貸出傾向は、容易な傾向が弱まる見通しで、短期借入金は増加傾向が弱まり、短期借入金利は上昇傾向が強まる見込み。来期借入金利のB・S・I値プラス4・5は、過去10年間の中で最も高い水準となった。
「資材」関係は今期、資材の調達で困難な傾向が若干弱まっており、資材価格も上昇傾向がやや弱まった。来期は資材の調達が今期と同様の傾向、資材価格は上昇傾向が強まる方向だ。資材価格のB・S・I値プラス41・0は、22月12月に次ぐ、過去10年間で2番目に高い数値。
今期の「労務」は、建設労働者の確保で困難な傾向が続いており、賃金も上昇傾向が続いている。来期は、労働者の確保で困難な傾向が続く見通しであり、賃金は上昇傾向が相当強まる見込みだ。来期賃金のB・S・I値プラス27・5は、過去10年間の調査結果で最も高い水準。
「収益」は今期、減少傾向がかなり弱まった。減少の理由は、『完成工事高の減少』がトップだが、僅差で『資材価格の上昇』が続いた。来期の収益は、減少傾向が相当強まるもようだ。
今期の経営上の問題点は『人手不足』が依然トップ。以下、『受注の減少』、『資材価格の上昇』、『従業員の高齢化』の順。前回調査と比べ、『資材価格の上昇』のウエイトが低下した。
なお、自社の業況については今期、悪い傾向が続いており、来期は悪い傾向がかなり強まる見通し。来期のB・S・I値マイナス19・0は、17年6月以来の悪い水準。