横浜市環境創造局は、横浜市風力発電所(ハマウイング)のリプレースを民設民営方式で行うため、関連事業者7団体へのサウンディング調査を実施した。現行風車と同等規模のリプレースは製品が確保できないことから難しく、大型化を視野に入れた方が良いとの意見があった。事業方式については、「オフサイト型PPA(電力販売契約)による民設民営方式」の提案があった一方、市との連携や補助金を求める声もあり意見が分かれた。事業期間は最低20年とする提案が多かった。
今後、対話で浮かび上がった課題を整理し、早ければ2023年度に2度目のサウンディング調査を行い、24年度以降に事業者を募集。26年度から設計に着手し、解体工事は早くてもFIT認定終了後の28年度になる見込みだ。
今回のサウンディング調査は、1月10〜27日に、風車メーカーや建設保守(2者)、エネルギー関連(2者)、風力発電事業コンサルタント、技術コンサルタントの7団体と行った。
市はリプレースの前提条件として、▽現在の敷地での風車のリプレース▽新風車は2㍋h級以上の機種1基▽市内への売電や市内での自家消費▽一般人の立ち入り禁止▽立地を生かした事業提案―などを示した。
リプレースなどの計画について、延命が難しいとともに、現行の2㍋h規模の風車が製造中止になっているため、4㍋h機や10㍋h機への大型化を視野に入れた方が良いという意見があった。一方、大型化する場合、コストが増加することや環境アセスメントなどの調査が必要になること、大型風車建設のための工事ヤード確保が課題となるといった声があった。
公募や事業手法・事業期間・事業採算性では、最低でも20年の事業期間で、「オフサイト型PPAによる民設民営方式」の提案があった。風車の発電電力を小売電気事業者を通して横浜市の公共施設などに売電する方式で、実現すれば風車を活用した事例としては国内初という。この他、民間単独での事業化は難しいため、市などと連携して取り組みたいとの意見があった。
立地を生かした事業提案では、ライトアップイベントなど観光資源や横浜市のシンボルとして活用したいとの意見があった。
現行の風車は07年3月に稼働を開始した。風車は設計寿命が20年程度のため、寿命を見据えてリプレースの手法を検討している。
現行風車は、デンマークのべスタス社の「V80―2MW」。年間発電量は約210万`h時。定格出力は1980`h。高さはタワーが約80b、ブレードを含めると約120b。建設費は約5億円。
所在地は神奈川区鈴繁町8ノ1の瑞穂ふ頭地内の市有地。面積は3900平方b。
提供:建通新聞社