日本生命保険相互会社(大阪)は、金沢市上堤町の「日本生命金沢ビル」の解体工事に着手するもようだ。北陸新幹線金沢開業後、周辺はホテル建設が顕著だったが、3年余りのコロナ禍を受け、同跡地の行方は今後の都心開発のあり方を占う試金石となりそうだ。
同ビルはSRC造地下2階、地上9階建て延べ約6500平方メートル。1970年竣工で築後50年以上を経過。敷地面積は約1490平方メートル。入居していた日本生命、大林組は昨年、駅西エリアに完成した「金沢けやき大通りビル」に移転しており、空きビル状態となっていた。
現時点で解体後の跡地活用については未定で、新幹線金沢開業後、上堤町周辺は全国有数のホテル建設ラッシュを呈したが、新型コロナ感染拡大でその動きも収束。その間、金融ストリートの象徴だった日銀金沢支店の駅西移転も本格始動するなど、従来の金融単機能の街からの転換が一層加速するものとみられている。
金沢では国内外の観光客の入り込みが戻りつつある中、コロナ後の新たなまちづくりを見据え、どのような機能が張り付き、街なかをコンバージョンしていくのか。日本生命金沢ビルの動向から目が離せない状況だ。
オフィス、福祉施設も/ホテル建設一辺倒から変化
明治安田生命保険相互会社(東京)は、金沢市南町で営業用ビル「明治安田生命金沢ビル(仮称)」を建設中だ。設計・施工は大成建設。
建設規模はRC造(基礎免震構造)地上9階、塔屋1階建て延べ7167・88平方メートル。敷地面積は1577・81平方メートル。竣工は2024年7月の予定で、これまで同様、ビジネス街の一翼を担う。
一方、大和ハウス工業金沢支社(金沢市)は同市武蔵町の越山甘清堂旧本店・工場跡で「(仮称)Dプロシルバー金沢市武蔵町プロジェクト新築工事」を進めている。施工は創真建設。
建設規模は、S造6階建て延べ3663・68平方メートル。用途は有料老人ホーム。敷地面積は1264・74平方メートル。完成は12月下旬。設計は大和ハウス工業北陸・信越建築一級建築士事務所。
金沢は新幹線金沢開業以降、駅周辺から武蔵、南町界隈、片町エリアまでホテル建設が際立ったものの、コロナ禍では明治安田生命が営業用オフィスビル、大和ハウス工業が有料老人ホームと各社の戦略に応じた機能を配置させている。
新幹線の第2開業といわれる敦賀開業で、どのようなまちづくりが展開されるのか。本格的な新幹線時代の金沢の真価が問われることになりそうだ。