印西市は、印旛歴史民俗博物館や木下交流の杜資料センターの機能集約による「(仮称)歴史文化施設」の設置に向け、年度内に事業活動、展示の構成や配置、立地・諸室の配置といった施設整備、デジタル環境整備、管理運営、推進スケジュールなどについて検討し、基本計画を策定する方針を示した。3月には「第3回(仮称)歴史文化施設基本計画策定委員会」を開催。基本理念や中間報告などの案を提示した。基本理念案は、多様な人々が歴史や文化を共に学び合い、市への愛着と誇りを高め、未来を創造することを目指し、「水と台地が育んだ郷土の歴史・文化と人をつなぎ、印西の未来をひらく交流拠点〜いんざい未来創造ミュージアム〜」とした。
基本理念案を踏まえた事業活動方針案については、市民と共に歴史・文化の掘り起こしなどを行う「学ぶ」、様々な人が歴史・文化に触れ魅力を体感する機会を創出する「楽しむ」、歴史・文化を通じた市民が生き生きと活動する機会を創出する「輝く」を掲げた。
中間報告案では、既存の施設・機能において市民や来訪者が市の歴史・文化を体系的に学ぶことは困難としたほか、施設の老朽化、狭あいな収蔵庫や展示室における温湿度調整機能など設備の不足、市民の自主的な学習・成果発信の機会および場所の不足、児童・生徒の受け入れに適した施設機能の不足などが課題として挙げられた。
17年3月策定の「公共施設等総合管理計画」においては、印旛歴史民俗資料館や印旛医科器械歴史資料館に関し、集客性の向上や受益者負担の適正化を検討するととともに、今後も建物を活用し続ける場合、入館者の安全性を考慮しつつ収蔵資料の損傷を防ぐため、適切に修繕・改修を行うとした。
21年3月策定の「教育大綱」では、市民がさまざまな文化・芸術に触れ、文化遺産の価値や意義を次世代へ適切に継承することを目指す方針を示した。
22年3月公表の「第2期教育振興基本計画」においては、郷土伝統文化の継承・公開や史跡整備・活用事業などを通じ、文化財の保護・活用を推進するとし、展示資料の充実と活用を図るため、印旛歴史民俗博物館を木下交流の杜資料センターに集約する場合は、新たな歴史文化施設の整備を含めて検討する方向性を打ち出した。
20年3月策定の公共施設適正配置アクションプランや22年12月公表の公共施設整備基本方針では、印旛歴史民俗資料館を木下交流の杜歴史資料センターへの集約することや、印旛医科器械歴史資料館の複合化・移転・譲渡など、施設のあり方の検討を行うこととした。
印旛歴史民俗資料館は、岩戸1742に所在。敷地面積は2054・95uで、一部が民有地。建物は、RC造平屋建て、床面積822u、1985年度の完成。旧印旛村で収集した民具を中心に、古文書・考古資料・地学資料・印旛沼関連資料などを収蔵・展示している。
木下交流の杜歴史資料センターは、木下1489―1にある。敷地面積は5494u。建物は、SRC造平屋建て、床面積500u、89年度の完成。木下地区周辺における、原始から近代までの考古・歴史資料を展示している。
印旛医科器械歴史資料館は、舞姫1―1―1に所在。敷地面積は1176u。建物は、RC造2階建て、延べ床面積701u、77年度の完成。全国から医科器械約1000点などを集め、展示している。指定管理者は(一財)日本医科器械資料保存協会。