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建設経済新聞社
2023/04/10

【京都】京都国立博物館敷地に文化財修理センター 試掘調査し実現可能性を検討

 文化庁は、令和12年度までを目途に京都に整備するとしていた国立の文化財修理センター(仮称)について、京都市東山区の京都国立博物館の敷地内に整備する方向で検討に入る。
 文化財修理センターを巡っては、美術工芸品の修理拠点として、京都国立博物館内の文化財保存修理所の修理スペース不足や機能面の見直しの必要性を機に、国が令和4年度から新たな国立の文化財修理センターの整備に係る調査研究に着手。センターの機能として、例えば、分野横断的な拠点機能、修理記録等のデジタルアーカイブ化などの情報集約機能、原材料の需給状況を含む文化財保存技術に関する一体的・継続的な調査研究機能や、研修・普及啓発機能など、ナショナルセンターとしての情報の集約や発信・広報の機能、文化財所有者、修理技術者、研究者、国・地方公共団体、地域などの文化財関係者間のコーディネートを行う機能などの発揮が期待されるとし、具体的な検討を進める必要があるとしていた。
 また今年3月26日開催の文化庁京都移転祝賀の集いにおいて、岸田文雄首相が「京都に文化財修理の拠点となるナショナルセンターとして、国立文化財修理センターを2030年度(令和12年度)までを目途に整備すべく、必要な取り組みを進めていく」と表明した。
 文化庁はこのほど、検討の方向性として、候補地に京都国立博物館の敷地内を示した。
 ただし、地下遺構の存在について試掘調査等による把握が必要なため、今後は、京都国立博物館の敷地を想定しながら試掘調査を行い、まずは京都国立博物館の敷地内における実現可能性を検討することとし、試掘調査等の結果によっては、その他の可能性を検討する。
 なお京都における現状の修理スペースは、@京都国立博物館文化財保存修理所(延2856u(建築面積728u))、A京都国立博物館旧管理棟使用面積(現使用面積495u)。@は「修理スペース不足」「トラックヤードがない」「更衣室がない」「文化財と人の動線が同じ」など、Aは「文化財保存修理所の修理スペース不足、特に大型作品の修理への対応のため、やむなく使用している状況」といった課題がある。
 建物規模の基本的な考え方として、「京都において現在不足している修理スペースに加え、可能な限りの修理スペースを確保してプロジェクト修理室としての機能を持たせるとともに、見学者用通路、トラックヤード等基本的な諸室を追加、さらに用具・原材料等の課題解決機能のための諸室を確保」を具体像(理想)として示した。課題としては「十分な用地が確保できない場合、または地下遺構や法令上の制限により十分なスペースを確保できない場合、一定の機能を分散させるなどの対応も検討が必要」を挙げた。
 また修理作業の見学用通路の設置や、事前レクチャーなどを行うセミナー室の設置などを挙げた。