「漁業活動優先」「今後も検討」エリアも 壱岐市は、洋上風力発電の導入可能性エリアとして周辺海域の5カ所を市の総意としてとりまとめた。併せて、同エリアに洋上風力の導入を検討する際に配慮すべき条件もまとめ、近く県に情報提供する。県はこの内容を精査した上で、国に情報を提供。国はこれを踏まえて、再エネ海域利用法に基づく区域指定の手続きを進めていくことになる。
壱岐市では、導入可能性エリアの検討に際し、さまざまな関係主体と協議・調整を実施。エリアの指定に対し一定の理解は得られたものの、検討の継続を望む声が多数聞かれた。これらの協議・検討結果を踏まえて3月27日に開かれた第3回壱岐市洋上風力発電等導入検討協議会(座長・河邊玲長崎大学教授)では、五つの導入可能性エリア(今後の検討により、促進区域への指定の可能性があり得るエリア)と、六つの配慮すべき条件を承認した。併せて、漁業活動を優先しつつ、洋上風力発電導入の可能性を今後も検討していく「漁業活動優先エリア」と、次年度以降も協議・調整を継続し、将来的に促進区域への指定を目指す「導入可能性を今後も検討するエリア」をまとめた(図参照)。
配慮すべき条件は、▽漁場利用▽船舶航行▽海底ケーブル▽国防施設など▽景観▽鳥類の生息環境―の6分野で提示。このうち船舶航行では、航行の安全が確保可能な航路幅員の確保。海底ケーブルでは、ケーブルと接触・干渉が生じない適切な措置、メンテナンス作業に必要な範囲に風車関係構造物を設置しないこと。景観については、新たな景観資源としての側面と、従来の自然的な景観への影響の両面から、地域にふさわしい風車景観の在り方を検討することなどを、それぞれ挙げている。
国は、同地区についての県から提供された情報を踏まえ、再エネ海域利用法に基づく手続きを進める。ここでは、区域の状況に応じて「促進区域」を指定するほか、早期に促進区域に指定できる見込みがあり、より具体的な検討を進めるべき「有望な区域」と、将来的に有望な区域となり得ることが期待される「一定の準備段階に進んでいる区域」に整理。促進区域に指定した場合、国が事業者の公募選定手続きを進める。これら一連の手続きには3〜5年かかる見通しだ。