建設新聞社
2023/04/04
【東北・福島】浪江町にF―REIを設立/29年度までに1000億程度を投資
復興庁は1日、福島県浪江町で福島国際研究教育機構(F―REI)を設立し、仮設事務所を置く町ふれあい福祉センターで開所式を執り行った。式典には岸田文雄首相が出席し、福島をはじめ東北の復興を実現する「創造的復興の中核拠点」の整備に期待を寄せた。2029年度までの中期計画期間内の事業規模は1000億円程度を想定し、ロボットや放射線科学など研究拠点の整備を進めていく。
F―REIは、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の司令塔機能を担う「創造的復興の中核拠点」として、東日本大震災などからの復興を実現するとともに、イノベーションの創出や経済成長、国民生活の向上に資する研究開発や産業化、人材育成に取り組む。
開所式には岸田文雄首相、渡辺博道復興大臣、内堀雅雄福島県知事らが出席。あいさつで同機構の山崎光悦理事長は「先頭に立って困難なミッションの達成に向けて全力を傾注する」と意気込んだほか、来賓祝辞で岸田首相は「福島県や市町村、経済界など関係機関との緊密な連携を深め、研究開発や産業化、人材育成の成果を期待したい」、内堀知事は「福島の新たな未来に向けてイノベーションの力で復興を力強くけん引してほしい」と述べた。その後、出席者が仮事務所前に掲げた看板を除幕したほか、仮事務所の内覧会も行われた。
引き続き行われた山崎理事長の就任会見では、施設整備について「少しでも早く研究施設を立ち上げられるように復興庁に働き掛けていく」と早期着手を要請した。
主な研究内容は@ロボットA農林水産業BエネルギーC放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用D原子力災害に関するデータや知見の集積・発信―の5分野。また人材育成にも積極的に取り組む方針で、1日には福島工業高等専門学校と連携協力の基本合意を締結したほか、5日には福島県立医科大学に研究分室を設置するとともに、連携協力の基本合意を締結する予定だ。
当初施設の整備は復興庁が担当。建設地としてJR常磐線・浪江駅の南西部に当たる浪江町川添地区約14fの取得を予定している。導入する機能は、本部(一般事務室3600平方b、福利厚生スペース2800平方b、広報展示スペース1400平方bなど)、研究・実験(一般研究室・実験室340平方b×50、研究共用機器スペース5700平方b、計算機室1200平方b)などを想定。設備では放射線科学用の加速器、農林水産業用のほ場の導入も検討している。
今後は本年度内の施設基本計画策定に向けてゾーニングや動線、設計条件などを検討。24年度以降に基本・実施設計を作成し、造成工事を経て建築工事に着手する。施設の完成は、復興庁設置期限となる30年度までを目標とし、施設ごとの順次供用開始を予定している。29年度までの中期計画期間の事業規模は1000億円程度を想定している。
提供:建設新聞社