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建設経済新聞社
2023/03/23

【京都】木造3階建の住棟建設を計画 城南団地建替えで府初の試み

 京都府は20日、住宅審議会を開き、2月議会で契約した府営住宅向日台団地整備事業と、令和5年度に新規事業化予定の府営住宅城南団地整備事業について報告した。
 向日台団地(向日市向日町北山他。用途地域は第一種住居地域)は昭和41〜42年度に建設された府営住宅。管理戸数は15棟(RC造5階建)の497戸で、うち入居者戸数は385戸。建設から約56年が経過し、老朽化が進行。現在の耐震基準に適合していない上、住棟及び住戸の設備等も古く、バリアフリーに対応していない。これらに加え、住民の高齢化及び子育て世代の減少が進んでおり、これらがさらに進行すると、コミュニティの維持が困難になり、地域活動の低下が危惧される状況。
 これらの状況に対応するため、建替えを行い、安心・安全な住環境の形成を図るとともに、従来のコミュニティに新たな世代が加わることで、子どもが地域で育まれ、全ての世代にとって暮らしやすいまちづくり推進する計画。
 15mの高さ制限があるが、向日市の向日台地区地区計画により、最高高さは20mに緩和。これにより現行の5階建から7階建とすることで、敷地に余剰地を発生させる。
 団地の規模が大きいことから、南側の第1事業区と北側の第2事業区に分け、段階的に整備することとし、まず第1事業区では、現入居者のための住戸を集中的に整備する。

向日台団地建替えの第2事業区
余剰地活用し児童福祉施設等整備


 第1事業区(7棟205戸)で住戸201戸を整備。第2事業区(8棟290戸)では建替えと併せて、余剰地を活用して児童福祉施設等を整備する。
 第1事業区の建替えについては、現在の入居者が仮移転したのちに建物を解体し、跡地に新たに建設する必要がある。円滑な移転、再入居の計画・実行を行う主体と、建物の計画・設計、建物の施工の主体が別々である場合、入居者に不利益等を及ぼす恐れがあるため、主体を一つとするPFI事業を採用。事業者が事業用地内に存在する既存住宅を解体撤去し、新たに建替住宅を整備した後、府に所有権を移転するBT(BuildTransfer)方式とする。事業内容は、@設計A解体工事B建設工事C工事監理D仮移転・本移転支援E地元対応を一体的に実施する。事業期間は令和4〜10年度。
 発注手法は総合評価一般競争入札を採用、予定価格は55億6700万円(税込)に設定。令和5年9月2日に入札公告し、6年1月20日に落札者を決定。3月10日に契約(議決)。
 入札は3グループが参加。樺キ谷工コーポレーション関西(大阪市中央区)を代表企業、公成建設梶i京都市下京区)、樺キ谷工コーポレーション大阪エンジニアリング事業部(大阪市中央区)、樺J脇建築事務所(大阪府岸和田市)を構成企業とするグループに決定。契約金額は54億7881万4000円(税込)で、落札率は98・4%。
 長谷工コーポレーション関西を代表企業とするグループの評価された主な提案は、▽パブリックからプライベート空間までの連続性に配慮することで、高齢、若年、子育て世帯等の入居者間の多世代交流の促進が期待され、入居者間のコミュニティ形成に有効▽団地内の車・自転車・歩行者の動線が交錯しやすい各箇所において、見通しが確保されている▽住棟内での巧みな共用スペースの配置と住戸内諸室配置関係、花壇や縁側の利活用を通じて、入居者間の良好なコミュニティ形成が期待▽住棟は南向き。南東向きで、採光や風通しに配慮▽全住戸からエレベーターが複数台利用でき、故障や更新時の対応のしやすさ▽廃材を活用したバイオマス発電の利用や、転用・再生が可能な樹脂型枠の採用等による環境配慮▽適切な工期、品質管理に資する提案、工事中の事故等の防止対策▽入居者移転支援について、これまでの実績・経験に基づいた入居者の移転負荷を軽減するための創意工夫▽代表企業や他の構成企業の役割や責任分担が明確で、想定リスクへの対応等の観点からの検討。
      ◇      
 城南団地(城陽市寺田林ノ口、寺田深谷、寺田宮ノ谷。用途地域は第一種低層住居専用地域)は、昭和41〜42年度に建設された府営住宅。管理戸数は4棟(RC造5階建)の175戸で、うち入居者戸数は80戸。建設から約56年が経過し、老朽化が進行。現在の耐震基準に適合していない上、住棟及び住戸の設備等も古く、バリアフリーに対応していない。これらに加え、入居者の高齢化などにより、コミュニティの維持が困難になっている。
 このような状況に対応するため、建替えを行い、良質な住環境を整備することで、入居者の生活の安定に寄与するとともに、若い世代や子育て世帯の新規入居により、周辺地域を含めたコミュニティの活性化につなげる計画。
 最高高さ10mの制限があり、周辺住環境を保護する日影規制等の現行法令に適合するため、第1期工事として、北側エリアの住棟2棟80戸を解体し、RC造5階建からW造3階建とする。W造3階建の住棟は京都府の府営住宅として初の試みとなる。
 耐震性確保やバリアフリー化、最新設備機器の導入のほか、府内産木材を積極的に活用し、癒やしをもたらす住棟を整備。脱炭素化社会に向けた省エネ・創エネ設備を整備(ZEH化、太陽光発電設備)。高齢者やファミリー世帯が生活しやすい多様な住戸タイプを整備する(2K(約40u)、2DK(約50u)、3DK(約65u))。地域交流の場となる広場、集会所を整備する。
 現入居者に仮移転をしてもらいながらの建替えとなるため、工区を3つに区切り、順次建替えを実施。全体計画として現4棟175戸を解体し、4棟110戸を建設する。
 第1期工事で北側の現3、4号棟の2棟80戸を解体し、府内産木材によるW造3階建の2棟50戸を建設。第2期工事で現2号棟を解体し、新2号棟を建設、第3期工事で現1号棟を解体し、新1号棟を建設する(新1号棟、新2号棟で計60戸)。
 第1期工事は令和5〜7年度、第2期工事は令和7〜9年度、第3期工事は令和9〜11年度を予定。
 概算事業費は約34億円を見込む。
 なお城南団地整備事業については、3月24日開催の令和4年度第2回京都府公共事業評価に係る第三者委員会において、事業着手前の事前評価として審議される。
 城南団地整備事業について、これまでに測量業務を令和4年9月に入札し、ユーズ(京都市下京区)に決定。履行期限は令和5年3月31日まで。
 また基本計画策定と基本設計、既存施設解体実施設計を行う業務も令和4年9月に入札し、三宅建築事務所(京都市左京区)に決定。履行期限は令和5年3月24日まで。
 令和5年度当初予算に3億5473万3000円を計上するとともに、限度額11億1400万円の債務負担行為を設定した。
 住宅審ではこのほか、府営住宅等長寿命化計画の改定について報告。改定後の計画期間は令和5年度〜14年度まで、計画対象は府営住宅等127団地(765棟、1万4841戸の公的賃貸住宅)。
 またマンション管理適正化の改正を受け、京都府下の状況を報告。
 推進計画策定済みは、京都市(令和4年3月に京都市分譲マンション管理適正化推進計画を策定。令和4年9月に管理計画認定制度を開始)、木津川市(令和5年3月に木津川市マンション管理適正化推進計画を策定)。このほか、宇治市が令和5年度上半期、城陽市、京丹後市が令和6年度以降を推進計画策定を予定。
 長岡京市は、分譲マンションの実態把握に向けた取組として、令和4年7〜9月に分譲マンションアンケート調査を実施した。