建設新聞社
2023/03/23
【東北・福島】浪江町に国内初のグリーンアンモニア製造施設
日揮ホールディングス(横浜市西区みなとみらい2の3の1 佐藤雅之代表取締役会長)は、浪江町の棚塩産業団地に商用規模では国内初となるグリーンアンモニア製造施設の整備を計画し、レイズネクスト(横浜市中区)の施工で10月の着工を目指している。22日には町と立地協定を締結した。
グリーンアンモニアは、再生可能エネルギーを活用して生成された水素を利用して製造する次世代エネルギーとして注目されている。今回整備する施設は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業として2021年8月に旭化成と共同採択を受けた「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発およびグリーンケミカルプラントの実証」が目的。浪江町棚塩地内の棚塩産業団地一街区内約9000平方bに実証プラントを整備し、同団地内の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で製造された水素を利用してグリーンアンモニアを製造する。
整備予定の施設は、旭化成が開発した水電解システムによる最大製造能力4d/日のアンモニア合成設備のほか、アンモニア貯蔵設備(16dタンク2基)、圧縮設備、排水処理設備、事務所など。現在は日揮グループを中心とした企業が設計を進めている。
完成は24年11月末で、事業期間は24年度内から26年度までを予定。製造したグリーンアンモニアは、火力発電所の脱硝など産業用としての利用を想定している。なお、施設整備に当たっては天候など各種データをもとに水素供給見込量などを予測してプラント運転を調整する「統合制御システム」の開発・検証を行い、省力化や整備コストの適正化を図る。
道の駅なみえで行われた締結式では、吉田栄光浪江町長と秋鹿正敬日揮ホールディングス常務執行役員が立地条件整備や地元雇用などに関する協定書を取り交わした。吉田町長は「本計画は町が取り組む水素タウン構想やゼロカーボン実現への大きな鍵となる」と歓迎し、秋鹿常務は「革新的な技術開発を町のみなさまと進め、日本や世界のカーボンニュートラル実現に貢献したい」と意気込んだ。
提供:建設新聞社