鴨川市は18日、「海辺のグランドデザイン」に関する市民向けシンポジウムを市役所4階大会議室で開催した。前原横渚海岸周辺地域の将来像を定めるグランドデザインの策定に当たり、パネルディスカッションを通じて「市民会館跡地に必要な機能」や「前原横渚海岸周辺地域の活性化に必要な取り組み」について意見を求めた。グランドデザインの素案においては、多目的スペース、多目的ホール・会議室、屋内娯楽施設、温浴施設、津波の一次避難機能を備えた駐車場、潮さい公園のリニューアル、海の見える飲食施設、シャワー・ジャグジーなどを備えたマリンステーションなどの整備を計画している。
長谷川孝夫市長は「皆さまとともに前原横渚海岸の将来像をしっかりと考えることで、有意義な時間としたい」と述べた。
対象エリアは、前原横渚海岸周辺地域、後背市街地、市民会館跡地、芝浜プール、鴨川潮さい公園、海浜プロムナード、魅力体験広場。また、JR安房鴨川駅から市民会館跡地までのアクセス道路も含む。
将来像については▽JR安房鴨川駅から海岸までの「エントランスロード」▽市民会館跡地周辺の「フロントエリア」▽日本の渚百選と海を満喫できる「ビーチショップロード」▽海を生かしたイベントや施設が充実した「アクティビティエリア」▽魅力体験広場を通じて市民や観光客が魅力を体験できる「パークゾーン」▽地域の芸術・文化・商業の新たな中心地とする「後背市街地ゾーン」――の区域ごとに設定する。
エントランスロードは、海を身近に感じ、レジャー・リゾート気分を醸し出している海岸への玄関口とするため、パームツリーなどの街路樹、景観舗装、道路の拡幅、海岸周辺の駐車場、多目的スペースの整備を進める。
フロントエリアでは、市内外から人が集い、遊び、くつろぎ、さまざまな機能を享受できる多世代交流拠点を目指し、多目的ホール・会議室、屋内娯楽施設、温浴施設、飲食・物販機能、展望・屋上テラス、津波の一次避難機能、潮さい公園のリニューアル、アーバンスポーツのできる場所の整備を推進する。
ビーチショップロードは、日本の渚百選に選定された前原・横渚海岸を満喫できる空間とするため、海の見える飲食施設、シャワー・ジャグジーなどを備えたマリンステーション、ランニングやウォーキングを快適に楽しむための空間の整備を行う。
アクティビティエリアでは、海の魅力を満喫できるマリンアクティビティ体験の提供、ライブ・ビーチバレーなどのイベントを誘致するほか、SNSで発信されるような写真映えするオブジェの設置、ウォールアートの整備を行う。
パークゾーンには、カフェ・ベーカリー施設、地域事業者の出店場所、イベント広場、シャワールーム・脱衣所などを整備し、にぎわいの創出や地元の産品を楽しめる場所とするほか、新たなアクセスルート、駐車場を整備することで安全かつ快適なアクセスを確保する。
後背市街地ゾーンは、芸術作品を展示できるギャラリーのほか、各種ワークショップを開催し、多世代交流の活発化を図る。また、空き店舗を活用した移住体験施設を備えることで定住者の確保を目指すほか、演出照明を整備し、夜のまち歩きが楽しめる空間を創出する。
参加した市民からは、駐車場や海辺周辺のシャワー施設の整備、津波からの避難施設などの要望が挙がった。
海辺のグランドデザイン策定業務は、エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所が担当しており、シンポジウムで寄せられた意見を反映させた原案を3月下旬までに作成する。
4月または5月頃のパブリックコメントを経て、6月頃の計画策定を目指す。