地域の建設業が建設現場にデジタルトランスフォーメーション(DX)の技術を取り入れ、その有用性をアピールする建設DX技術活用モデル工事(インフラDXモデル工事)の現場見学会が3月10日、愛媛県今治市の「令和4年度今治道路五十嵐高架橋下部P47―P49工事」を対象に開かれた。インフラDXモデル工事の現場見学会は全国初の取り組みという。当日は四国4県の建設業協会、四国建設青年会議の会員企業など35社、延べ100人が参加し、現場で採用している最新技術を見学・体験した=写真。
現場では日本建設業連合会(日建連)の建設DX事例集を基に四国建設青年会議が選定した、鹿島と清水建設、三井住友建設の各「配筋検査システム」、不動テトラの「点群データを利用した構造物の施工管理」、淺沼組の「VRによる安全教育訓練」―の5技術を採用している。参加者はこれら技術を紹介するブースなどで説明を受け、操作を体験した。モバイル端末を用いた3次元計測技術やパワーアシストスーツを紹介するブースもあり大勢が見学した。
見学会は発注者の国土交通省四国地方整備局と受注者の白石建設工業(愛媛県新居浜市)が主催し、日建連と四国建設青年会議が協力した。
主催者を代表して四国地方整備局のM田向啓建設情報・施工高度化技術調整官(DX調整官)は「建設産業の生産性向上と若手技術者の確保・育成のため、地域の建設業の皆さんが使ってみたいと思うような新しい技術を取り入れた工事を日建連の協力を頂いてインフラDXモデル工事として企画し本日を迎えた。四国各地から参加していただき、DXへの関心が高いことをうれしく思う」とあいさつ。
さらに「見学会やあす予定の建設DX参観日などの試行を今後も重ねながら、生産性向上にはじまり、給料が良い、休暇が取れる、希望が持てるの新3Kに、さらにかっこいいを加えた新4Kの産業にどんどん変わっていきたい」と述べた。
また受注者の白石建設工業の白石尚寛代表取締役は「どの建設会社でもDXを目指していきたいという熱い思いがあると思うが、われわれのような中小企業では自社のみで実践していくのは難しい状況」と現況を説明。
その上で「今回のように国交省、日建連、四国建設青年会議、建設業協会が力を合わせて技術指導をいただくことでわれわれもいよいよDXに取り組み、少しずつ技術の進化を実感できている。皆さんと共にDXを勉強し、生産性の向上、若手の育成、そして何よりかっこいい、ワクワクする建設業を四国全体で作っていける大きな一つのきっかけにしたい」と決意を述べた。
提供:建通新聞社