日本工業経済新聞社(群馬)
2023/03/16
【群馬】堤ヶ岡飛行場跡地の活用構想示す
高崎市と県は16日、堤ヶ岡飛行場跡地について合同記者会見を開き活用構想を発表した。イオンモール高崎(棟高町1400)周辺の93haが対象。先端情報技術を有する企業の集積を図るとともに、世界トップレベルのスマートシティを目指したまちづくりを県と共同で進めていく。2023年度に(仮称)共同戦略会議を設置し、23年度中に基本構想策定する。この他、23年度は都市計画関係の調整や環境影響評価も行い、28年度以降の造成工事に向け準備を進める。
堤ヶ岡飛行場跡地は県央部にあり、西毛広域幹線道路と主要地方道高崎渋川線バイパスが交差する場所の周辺に位置している。平坦な土地で、河川による浸水の想定も極めて少ないエリアとなっている。対象区域93haのうち、66haが農業用地で、残る27haが雑種地。農業用地のうち、40%が未利用農地となっている。近年、同跡地周辺では開発需要が急速に高まっており、同跡地は県央地域最後の優良地なる。
跡地活用構想のキーワードにデジタル、グリーン、クリエイティブを掲げ、デジタルを軸にグリーンとクリエイティブという観点でも最先端のモデルを実装させ、シリコンバレーを超えるまちづくりを目指す。跡地活用のコンセプトには◇先端情報技術を有する企業等が集積する地域◇DXを活用した地域◇省エネルギーを活用したサステナブルな地域−を挙げる。
先端情報技術を有する企業などが集積する地域として、AIやIT関連企業などのほか、研究機関の誘致を目指す。構想ではAI系、IT系、クリエイティブ系、研究開発系などの企業を集積し、デジタルイノベーションで新たな成長産業を生み出していくと同時に、新たな雇用の創出にもつなげていく考え。
また、さまざまな人材や資源、知見が集まってくるため、ハイレベルな最先端の教育が実現できることも期待される。
DXを活用した地域としてはエネルギー、モビリティ、パブリックスペースなどあらゆる面でDXを活用した、新たな社会システムの構築を目指す。将来的には首都圏などに居住する人の転職なき移住の受け皿ともなるような場所にしていく方針。
最先端の通信環境やサテライトオフィス、コワーキングスペース等の環境整備やICT推進による利便性の高い住民サービスの提供、AI活用による安心安全な住環境整備なども検討していく。また、新たなモビリティの活用、自動運転ロボットやドローン等による宅配サービスなどの検討も進める考え。
堤ヶ岡飛行場跡地周辺には駅が無く、交通手段は自動車やバスに依存している状況。このような状況を踏まえ、MaaSの社会実装を取り入れることで、課題解決の先進地にしていく考え。
再生可能エネルギーを活用したサステナブルな地域として、エネルギー需要側と供給側を一体的にとらえたエネルギー需給システムを構築する。地区内に建設される全ての建物に再生可能エネルギーの自産自消を実現するとともにエネルギー活用においても最先端のモデルを提示する方針。
23年度は共同戦略会議を設置。副知事、高崎市副市長をリーダーとし基本構想を作成する。この他、先進地事例調査としてアメリカのシリコンバレー等の視察も行う。