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　高知県は南海トラフ地震の事前復興の観点から、発災後に速やかな復興を進めるための基本的な方向性や必要な事項をまとめた「高知県復興方針」の草案を作成した。「命を守る」「生活を再建する」など５項目の基本理念で構成し、おおむね８年を目安に早期復興を目指す内容としている。
　草案では各分野の復興方針をまとめている。このうち公共土木施設の復興に向けては災害復旧を迅速に進め、改良的要素を含めた復興を推進する。市街地の復興では必要に応じた建築制限を行い、土砂災害や水防の監視体制・情報システムを復旧する。
　社会基盤の復興に当たっては、地域のニーズや被災前からの課題を踏まえ、環境や景観を意識した整備を行い、港湾や空港、流通施設については事前計画に基づい機能継続を進めながら効率的な復旧を目指す。生活に不可欠なライフラインは迅速に機能を回復し、災害に強い構造に更新する。
　住宅の確保に向けては、民間賃貸住宅の借り上げや公営住宅の空き室確保による既存住宅のストックを優先的に行う。並行して応急仮設住宅の建設と被災住宅の応急修理のための支援を実施する。応急仮設住宅の建設のために復旧用木材の速やかな供給体制の整備も進める。
　計画的な復興への条件整備に向け、県庁内に復興本部を設置し、知事を本部長とする。さらに危機管理部内に復興担当理事を配置し、部設置条例を改正して「復興部（仮称）」を新設するといった組織体制の草案もまとめている。
　県では有識者による会合で事前復興まちづくりの基本理念を検討し、２０２２年３月に計画策定指針を策定した。これに基づき復興方針や復興組織体制の草案、南海トラフ地震の復興手順書案の取りまとめを進めてきた。これらの草案や案は、実際に地震が発生した時の状況に合わせ正式な方針・体制となる。
提供：建通新聞社