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北陸工業新聞社
2023/03/07

【石川】基本設計費などに2760万円/金沢美大柳宗理デザインミュージアム/新年度予算案/西町教育研修館を活用

 金沢市は、2023年度当初予算案に「金沢美大柳宗理デザインミュージアム(仮称)」整備事業費2760万円を盛り込んだ。今年度事業で行っている基本計画の策定作業に引き続き、新年度から基本設計及び展示計画の策定に新規着手する。
 日本を代表する工業デザイナー・柳宗理氏は、デザイン活動等の傍ら約50年にわたり、金沢美術工芸大学で教鞭をとり、12年3月には各種作品をはじめとするデザイン関係資料約7000点余り(代表作のいす「バタフライスツール」の初期試作品や、64年の東京五輪の聖火を運搬したランタン型コンテナほか)が財団法人柳工業デザイン研究会から金沢美大に寄託された。これを契機に、大学附置施設として尾張町に柳宗理記念デザイン研究所(旧菓子文化会館)を設け、現在、約200点を常設展示している。
 デザインミュージアムについては、既設の西町教育研修館(西町)を活用して新設する。市では「デザインと建築意匠を通した美と創造の交流拠点」とのコンセプトに沿って、大規模改修工事に伴う基本設計業務と、柳氏が残した貴重な作品・デザイン資料などの展示計画を策定していく。
 一方、同館(旧石川県繊維会館)は金沢出身の建築家・谷口吉郎氏(名誉市民第1号)が設計し、柳氏とともに美大教授や、学長も務めた五井孝夫氏が監理を担った。施設規模はRC造地下1階地上3階建てで、延べ床面積1683平方メートル。タイル貼り白壁、細い柱形のコンクリート造で、モダニズムと和風建築を軽快に昇華する。また、階段廻りの亀甲石貼や折鶴形蛍光灯なども金沢に相応しい。1952(昭和27)年に完成し、昨年10月31日には国登録有形文化財に指定された。
 現代建築レガシーとして、評価の高い同館の建築意匠を継承するとともに、建物の耐震化、エレベーターや多目的トイレの設置などバリアフリー化も施す予定だ。

hokuriku