富山県生コンクリート工業組合は1日、富山市内のホテルで、2022年度「経営者技術講演会並びに品質管理監査合格証交付式」を開いた。昨年は新型コロナで中止され、2年ぶりの開催。式では、品質管理監査結果で「適合」の判定を受けた32工場の代表者に合格証が手渡された。
この日は、各工場の代表者と富山県生コンクリート品質管理監査会議の委員ら73人が出席。冒頭、一木宏行副理事長があいさつし、「今年度の当業界は世界的な原材料高騰に翻弄され、価格改定に追われる1年だった。今後も電力料金の高騰など、コスト高騰の波は続くものと予想される」と述べた上で、「SDGsを含めた環境問題への対応が業界として先送りできない課題。コンプライアンスの遵守、安全最優先への取り組みは、従来に増して企業活動継続の最優先事項であり、社会の視線も年々厳しくなっている」と話した。
さらに、「富山の生コン業界は残コン・戻りコンの有償化を含めた扱いの問題、骨材の枯渇化など避けて通れない問題を抱えている。監査会議での取り組みを通じ、現場で生じる様々な問題を真摯に受け止め、改善の努力を継続する必要がある。社会の要請に応え、良質な生コンが安定供給されるよう、組合と会員各社による取り組みを今一度認識し、社会から信頼される業界となるよう皆様の努力、協力をお願いしたい」と語った。
続いて、監査会議議長の伊藤始富山県立大学教授が、「写真や図からコンクリート工学を広く知る」を演題に講演。実務経験がある伊藤氏ら教員4人で執筆した教科書「コンクリート工学」(カラー刷)の章立てに基づき、(1)建設材料としてのコンクリート(2)構成材料(3)フレッシュコンクリートの性質(4)硬化コンクリートの性状(5)硬化コンクリートの性質の経時変化に対する抵抗性(6)コンクリートの配合(7)コンクリートの製造と施工−の各章の写真・図から、それぞれの内容を分かりやすく解説した。
このうち、製造と施工に関し伊藤教授は、「コンクリートの均質性と密実性を確保するのが目的。不具合防止のため、製造では運搬条件、施工条件に適した配合を選定するとともに、適切な製造管理で品質を安定させ、施工では打込みや締固めの際に材料分離を生じさせないことが大事。製造・施工は、コンクリートの品質のキーポイント」と強調した。
伊藤氏によると、講演に用いた教科書は、既に富山県立大や東京工業大、前橋工科大といった講義時に使用され、建設会社などの新入社員教育にも活用できるという。
一方、合格証交付式ではまず、監査統括責任者の大橋浩一氏が22年度の品質管理監査事業の監査概要を説明。「不適合の工場はJIS認証の取消しとなった1工場。昨年度に比べ減点0が4つ増え29工場、全工場の合計減点数は14点減少し13点となった」と報告し、「引き続き、この監査制度を活用し、品質管理と安定供給にさらなる努力を重ね、安心して使用してもらえる生コンにしていかなければならない」と協力を求めた。
交付式では32工場を代表し、小川産業の廣川勝幸氏に伊藤議長から合格証が授与された。同監査会議の花岡大伸副議長のあいさつで閉会した。