湖南市はこのほど、実施していた市役所東庁舎耐震診断で倒壊及び崩落の可能性があるとの結果を受け、耐震補強の手法を早急に検討する考えを明らかにした。新年度当初予算案に庁舎整備基本計画策定業務委託費2460万円を計上、予算が認められ次第、早期に業務発注する方針だ。
診断結果で指摘された強度不足要因は、施設2〜3階の柱の一部が基礎に届いていないためとのこと。
新年度から実施する基本計画策定業務の委託期間は約20ヵ月程度を想定。その後のスケジュールは現在のところ未定ではあるが、生田邦夫市長が今月16日に行われた定例会見上で「東庁舎を耐震化して不足分は増築する」と発言したことから、計画策定と並行して耐震・増築に向けた準備等が進められていく見通しだ。
耐震診断調査業務は、阿波設計事務所(大阪市浪速区)が担当している。
検討を進めている中央1丁目1番地にある東庁舎の規模は、昭和53年建設で、敷地面積9316・86平方b内に、RC造5階建、延5887・15平方bの施設1棟がある。駐車台数は約140台。来年度にあり方について調査等を進める石部中央1丁目1―1にある西庁舎は、昭和52年建設で、敷地面積3115・56平方b内に、RC造5階建、延2653・92平方bのこちらも施設1棟がある。駐車台数は約150台―となっている。
市の庁舎整備のこれまでを見ると、過年度に東庁舎を建て替えし周辺の公共5施設を集約、庁舎機能とその他公共施設機能を備えた複合施設を建設する「複合庁舎整備事業計画」を策定。▽市民の安全・安心な暮らしを支える拠点となる庁舎▽市民に開かれた誰もが使いやすい庁舎▽社会情勢の変化に対応できる長寿命で柔軟性の高い庁舎▽環境に配慮した庁舎―の4つの基本方針を打ち出し、計画的に事業を推進していく考えであった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって経済情勢が不透明な状況に陥ったことに加え、今後も感染症対策関連予算が必要との考えから、前市長の谷畑英吾氏が着工先送りを発表。その後、任期満了の伴う市長選で生田邦夫新市長が誕生。新たな市の舵取り役となった生田新市長は、就任後初の市議会定例会で「同計画は時間をかけてあり方を見直すことから当面は議会提案しない」と表明。その後は周知のとおり、確保していた事業費の一部をコロナウイルス対策費等へ予算配分したことや、市長が課題と示している浸水被害防止のための河川・池の改修等の災害対策、市を二分する野洲川の新たな橋の建設・主要道路複線化等の交通インフラ整備など、安心・安全なまちづくりのための基盤整備等を優先して実施し、安心・安全で住みよいまちづくりに係る各種事業が進められた。今回の低い耐震値により庁舎整備への比重は高くなったことから、今後の動向が注目される。
なお、複合庁舎整備事業計画では、新庁舎の規模をS造4階建、延1万1900平方bと設定。架構形式は純ラーメン構造を採用するとし、駐車場は、必要台数430台・駐輪台数50台が可能な駐車・駐輪整備し、階構成は、1階に▽市民交流スペース▽市民窓口を、2階に▽保健センター▽健康福祉・教育等の福祉関係窓口を集約する。3階に▽市長室▽災害対策本部▽事業系窓口を集約し、4階に▽議場・展望ロビーを設置する内容であった。
複合庁舎整備実施設計業務は、石本建築事務所(大阪市中央区)が担当した。
提供:滋賀産業新聞