建通新聞社(静岡)
2023/03/01
【静岡】土質改良土の原則利用へ 路体・築堤盛土
静岡県は、県発注工事の路体盛土と築堤盛土で、土質改良土の利用を義務化することを検討している。購入土の採用を抑制し、残土処分量の削減にもつながる、品質の高い土質改良土の利用を促進。土質改良土の品質管理基準を定めたり、認証を受けた優良な土質改良プラントの利用を促すなど、土質改良土を安心して使用できる環境も整え、建設発生土の有効利用につなげる。3月中にまとめる「建設発生土の処理に関する基本方針」にこうした考え方を盛り込む。
県は2月27日、県内の建設発生土の有効利用について話し合う「みらいの『県土』研究会」の初会合を開き、建設発生土の処理に関する基本方針案について、出席した学識経験者や関係団体の意見を聞いた。
基本方針では、盛土条例の施行で顕在化した残土処分量不足の解消に向け、残土の工事間利用を円滑にする「官民連携型ストックヤード」の整備、現場内利用の促進、発生抑制工法の採用といった具体策を示す。これらの具体策によって、2024年度の建設発生土の有効利用率80%(現行は70%程度)の達成、将来的な残土処分ゼロを目指す。
県は、土質改良土利用の義務化も、この基本方針に盛り込む考えで、研究会の初会合に出席した関係団体に対し、段階的に義務化する考えを提案。土質改良土は、現場から搬出された不良土を改良するため、建設発生土の工事間利用を後押しできる。ただ、発注者は安価な購入土を採用し、受注者も施工管理が難しい土質改良土の使用を嫌がる傾向にあり、結果として需要が確保できず、供給できるプラントも少ないのが現状だ
県はまず、道路工事に盛土材を使用する際の「盛土材料取扱基準」を見直し、土質改良土の品質基準を新設。路体・築堤に土質改良土を使用する場合の要求性能(最大粒度、強度、仕上げ厚など)を明らかにする。
その上で、路体盛土と築堤盛土への土質改良土の利用を義務付け、購入材の使用を抑制。舗装の構造上重要な路床盛土については、当面は土質改良土の利用は求めない。
一方、国土交通省の外郭団体である先端建設技術センターは、土質改良プラントの運営実績、製造管理、品質管理などを審査した認証制度の創設を検討している。認証を受けたプラントで製造された土質改良土の利用も促し、利用者側が安心して土質改良土を使用できる環境も整備する。