京都府は、福知山市川北の農業用ため池の川北奥池について、堤体などの防災減災対策を講じる。
川北奥池(福知山市川北)の堤体は、堤高9・35m、天端幅4・00m、堤長82m。洪水吐は越流堰型(B10・20m)。取水施設は斜樋(底樋)φ0・40m。
京都府の防災重点農業用ため池に係る防災工事等推進計画(令和3年度〜12年度)において、前期に防災工事に取り組むため池に位置付けられている。
川北奥池の堤体は老朽化し、許容量を上回る漏水量が堤体全域から生じており、破堤の危険性も高い。洪水吐は断面不足で老朽化が進行、取水施設は緊急放流機能が無い状況。
洪水吐改修計画によると、計画基準雨量は(200年確率)116o/hr、計画洪水量はQ=22・00m3/s。現況洪水吐(越流堰型)は水路幅10・20m、越流水深0・67mで、改修では側水路型とし、水路幅12・30m、越流水深0・60mとする計画。
堤体補強計画によると、傾斜遮水ゾーン型工法により堤体を改修する。
取水施設改修計画によると、底樋はコンクリート全巻き管φ1500とする。途中に止水壁(現場打ち)を設ける。樋管の上流部(流入口)には泥吐施設(土砂吐ゲート×1門)を設ける。取水口の改修では、底樋は土砂吐ゲートを設けるが、パイプライン接続取水孔にはスライドバルブφ350を1ヵ所設ける。また事前放流機能の付加から、斜樋バルブφ500を1ヵ所設置する。
堤体補強施設として、@法面保護施設(上流…張ブロック(制波ブロックにより波浪による浸食を防止する。また天端コンより上部は芝付を行う)、下流…現況表土戻し)A漏水防止工(傾斜遮水ゾーン型工法で改修し、コアー用土(遮水材)、ランダム用土はともに購入土を使用。構造物には止水壁を設け、浸透路長を伸ばす)。
環境配慮項目は、@多様な水生植物・動物が生育する環境を現状のまま保全するA水生植物・動物にとって重要な水位や水質が改修前に比べてあまり変わらないように配慮するBあらかじめ堤体の表土を剥ぎ、改修後にできた堤体に表土を貼り付けることによって、在来種の生育環境を確保するよう配慮する。また施工時に他地区より土砂を持ち込む場合は、繁殖力の強い外来植物が含まれていないか確認を行うCため池改修時の工事用道路は、水生植物・動物の生育環境に影響しないルートを検討する。影響を与える場合は一時的に水生植物を移植するD下流域への外来種の拡散を防ぐため工事の際には必要に応じて網を設置する。
府営土地改良事業(川北奥池地区)計画によると、農村地域防災減災事業として、京都府中丹広域振興局は、令和5年度に工事着手、8年度に工事完了を予定。工程表によると、5年度に実施設計、6年度に仮設工等(1)、取水施設工、6年度から8年度に堤体工改修、7年度に洪水吐工、8年度に仮設工等(2)を予定。
総事業費は4億7197万5000円を見込む。工事費は4億2580万円と算出。内訳は堤体工1億9230万円、洪水吐工1億1320万円、取水施設工1億0440万円、仮設工1590万円。このほか、測量試験費1840万円、用地買収補償費530万円、事務費2247万500円。総費用便益比(B/C)は1・19と算出した。
なお福知山市は、令和3年度に川北奥池計画策定業務を入札し、サンスイコンサルタント福知山事務所(福知山市)が落札した。