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建通新聞社(神奈川)
2023/02/21

【神奈川】川崎市 南武線連立23年度都市計画決定へ 

 川崎市は、JR東日本南武線の連続立体交差事業(矢向駅〜武蔵小杉駅間)について、2023年度末の都市計画決定を目指す。本年度は環境影響評価準備書の縦覧を開始するとともに、3月には都市計画素案を公表して都市計画決定に向けた手続きを進める。24年夏から秋ごろに事業認可を得た後、必要な用地の取得を開始。29年度から下り線の高架工事、33年度から上り線の高架工事に着手する予定だ。高架工事の完了は39年度を想定しており、その後は関連する都市計画道路の整備を進める。
 南武線の連続立体交差事業は地域分断や交通渋滞の解消、踏切を利用する通学児童の安全確保などを目的に、矢向駅から武蔵小杉駅までの約4・5`(川崎市幸区塚越3〜中原区新丸子東2)を高架化する。9カ所の踏切を除却するとともに、区間内にある鹿島田駅、平間駅、向河原駅の3駅を高架式にする。
 線路の工事は「別線高架工法」を採用し、まずは既設の下り線の西側に高架化した下り線の線路を建設する。高架化した線路に下り線を切り替えた後、既設の下り線の敷地に上り線の高架線路を建設する。現在JRが概略設計を進めており、24年度以降に詳細設計に着手する。
 線路の構造は区間の両端を盛土構造、中間部を高架構造とする。盛土構造の区間は地上から天端までの高さが約2〜6b、線路の幅が約11b。高架構造の区間は天端までの高さが約10b、線路の幅が約10b、橋脚間の長さが約13b。
 下り線の高架化などに必要な用地の取得を24年度から開始する予定で、住宅など約400戸が対象となる。用地測量はおおむね完了しており、21年度に高架化の工法を当初の仮線高架工法から別線高架工法に見直したことに伴う修正業務を市から発注している。
 高架化に伴い除去する踏切は▽塚越(市道幸2号線)▽鹿島田(市道古市場矢上線)▽川崎堀(国道409号)▽平間(市道田尻町12号線)▽平間駅前(県道大田神奈川線)▽中丸子第1(市道中丸子97号線)▽中丸子第2(市道中丸子93号線)▽中丸子第3(市道中丸子70号線)▽向河原駅前(市道下沼都30号線)―の9カ所。
 全てが国の「踏切道改良促進法」で改良の必要がある踏切として指定されている他、5カ所はピーク時の遮断時間が毎時間40分以上を超える「開かずの踏切」となっており、対策が求められる。
 高架化する3駅のホームは鹿島田駅と向河原駅が相対式、平間駅が島式となる。ホームには転落防止用のホームドアやエレベーターなどを設置する。
 下り線の高架化に先行して、JRが所有する向河原変電所の移設工事を24年度に着手する。中丸子第2踏切付近にある既設の変電所を、約400b先の中丸子第3踏切付近に移設する。移設後の変電所は鉄筋コンクリート一部鉄骨造2階建て延べ約819平方b。
 高架化の完了後は、連続立体交差事業に関連する都市計画道路の整備を進める。対象の道路は▽矢向鹿島田線(川崎市幸区塚越3ノ367地先〜中原区市ノ坪581ノ1地先)の延長約2810b、幅員12〜17b▽大田神奈川線(川崎市中原区上平間171地先〜中原区市ノ坪581ノ1地先)の延長約550平方b、幅員16〜20b▽塚越南加瀬線(川崎市幸区塚越4ノ351地先〜幸区小倉618ノ2地先)の延長約430b、幅員12〜17b▽都市計画決定を予定している区画街路(川崎市中原区田尻町75地先〜中原区下沼部1753地先)の延長約1520b、幅員6b、▽都市計画決定を予定している自動車歩行者専用道路(川崎市幸区塚越1ノ131地先〜中原区下沼部1757地先)の延長約3450b、幅員5b―となる。
 矢向鹿島田線と大田神奈川線、塚越南加瀬線、区画街路では既に現道として供用している区間の拡幅や改修工事を行い、一部区間で道路を新設する。自転車歩行者専用通路は塚越踏切付近から向河原駅前踏切付近までの既設上り線の敷地を活用して新設する。
 道路整備に必要な用地は高架化の完了までに取得し、3カ年程度かけて工事を進める。
 関連道路の整備も含む連続立体交差事業の総事業費は約1387億円。
提供:建通新聞社