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建通新聞社(中部)
2023/02/21

【愛知】愛知県 がんセンター整備基本構想調査へ

 愛知県は、「愛知県がんセンター」の施設の老朽化に対応するため、将来のがんセンターの整備に向けた基本構想の調査に新規事業として着手する。2023年度当初予算案に調査費として3000万円を計上した。「建て替え方式も視野に入れる」との考えを示しており、将来のがんセンターあるべき姿として、医療機能などの調査とともに、事業方式や実施時期などの検討が見込まれる。23年度に入ってから、調査業務の委託、有識者などによる検討会議を発足させる考えだ。
 がんセンターは、1964年に開院し、以後、診療、研究施設や立体駐車場などを順次建設した。病棟については、92年5月に改築し、以来約31年が経過し、老朽化が進んでいる。2022年6月に行われた県議会福祉医療委員会での質疑でも、老朽化への対応が取り上げられ、がんセンターを所管する病院事業庁が、「当該施設が果たすべき長期的な役割、機能の観点から、長寿命化のための大規模改修や建て替えの必要性を、財源も含めて検討する必要がある」との考えを示していた。
 23年度に行う調査・検討の業務は、保健医療局が担当し、がん医療・がん研究の現状の整理、また、保有すべき施設、設備、医療機能の検討を行う。併せて、がん医療に携わる有識者などによる有識者会議を年度の早い時期に立ち上げ、意見を聞き取る予定だ。
 がんセンターの施設概要を見ると、病棟を92年に改築し、規模を鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上9階建て延べ2万8662平方bとし病床を増床した。さらに病棟の東側に、特殊放射線・中央診療棟を93年に建設した。規模は同造地下1階地上5階建て延べ1万2274平方b。この他、国際医学交流センター・外来棟、外来棟、化学療法センター棟、研究所棟本館、研究所棟北館、生物工学総合実験棟、看護師宿舎、保安公舎、立体駐車場など。施設延べ総面積は7万2956平方b。敷地面積は4万9788平方b。病床数は500床。所在地は名古屋市千種区鹿子殿1ノ1 。
 病院事業庁では、がん医療について、「近年、入院から外来へのシフトなど、がん医療を取り巻く状況は大きく変化している」と機能面の変化に触れるとともに、施設の老朽化も進んでいることから、「将来のがんセンターの整備に向けた検討を進めることになった」としている。
 なお、PET−CT検査について民間活力を導入する目的で事業者を公募し、06年に、医療法人名古屋放射線診断財団とPET−CT検査診療所整備運営等に関する基本協定書を締結し、同事業団が施設内北側にPET−CT検査診療所を設置し運営している。事業用の定期借地契約が26年に契約満了を迎え、同年に用地をさら地にして返還することになっている。敷地面積は1902平方b。


提供:建通新聞社