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建通新聞社(静岡)
2023/02/21

【静岡】既存建築物を省エネ改修

 県有建築物のZEBを推進する静岡県は、既存建築物の省エネ改修に着手する。更新時期を迎えた空調のダウンサイジングに合わせ、天井・屋上・窓を高断熱化する省エネ改修を行い、既存建築物の省エネ性能を高める。23年度にエネルギー使用の大きい大型施設(7施設)を調査し、省エネ効果の高い改修方法をシミュレーションする。県は23年度から新築する県有建築物をZEB化する方針を決めており、既存建築物でもZEBの実現を目指す。
 県は、県有建築物の新築時のエネルギー消費量削減の数値目標や効率的な省エネ仕様を盛り込んだ「県有建築物のZEB化設計指針」を3月中にまとめる。この指針を活用し、新築する県有建築物では一次エネルギー消費量を50%以上削減するZEB READYを達成させる方針だ。
 一方、新築建築物よりも省エネ対応の制約が多い既存建築物についても、ZEBを目指して省エネ改修を進める。天井や屋上の高断熱化、複層ガラスへの交換、換気扇の改修などによって建築物の断熱性能を高めた上で、更新後の空調をダウンサイジングし、空調自体のエネルギー消費量も削減する。
 施設ごとに効率的・効果的な省エネ改修の手法を検討するため、23年度から改修手法をシミュレーションするための調査を開始する。23年度からの3年間で21施設を調査し、25年度から改修工事に着手する。初年度の7施設分の調査費3500万円を23年度当初予算案に計上した。
 既存の県有建築物の脱炭素化に向けては、屋上に太陽光発電設備を導入するための調査も実施する。県有建築物25施設の構造や電力使用量などを調査し、太陽光発電設備の導入候補を決める。調査結果を踏まえ、県が電力事業者にスペースを提供し、事業者が太陽光発電設備を設置・運用するPPA(電力販売契約)モデルを1施設に先行して導入する。

「民間建築物でもZEB化支援」

 県有建築物の脱炭素化に率先して取り組む一方、民間建築物のZEB化も支援する。ZEBで上乗せする設計費の2分の1を補助する「建築物ZEB化設計支援」として、23年度当初予算案に3000万円を計上。補助の上限額は、延べ300平方b以上2000平方b未満で125万円、延べ2000平方b以上で230万円とする見込み。
 補助金を交付した建築主には、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の認定を受け、評価書を提出することを求める。