先の白山市長選で3選を果たした山田憲昭氏。新年度予算の裁定が終了し、市議会2月会議に向け、準備を整えている。土地区画整理事業が進む地域への対応や企業誘致、公共施設の老朽化など様々な課題がある中、どう施策を打ち出していくのか。山田氏に展望を聞いた。
合併前の旧村役場庁舎は、組織改編や施設の統廃合などにより現在、未使用となっている。旧吉野谷支所を除く4カ所の旧庁舎は耐震化がされていないため、跡地利用については「地域の皆様と考え、防災や活性化につながる利用策を決定した上で既存建物を取り壊す。まずは旧鳥越村庁舎を対象に軽体育館などへの一新を検討していく」との認識を示す。
学校施設では、広陽小学校で増築を視野に事業を進める。「柴木・部入道の土地区画整理事業に伴い、児童の増加が見込まれるため、計画的に必要な教室数を確保する」とし、2024年度から長寿命化改良と合わせた実施設計に取り組む見通しだ。このほか、老朽化が進んでいる松任小学校と北星中学校の長寿命化改良も新年度から本格的に推進していく。
ハローワーク白山管内の昨年12月の有効求人倍率は2・05倍となり、全国や県と比べても高い数値だ。豊富な地下水や充実した交通インフラなどを背景に企業進出や既存工場の拡張などが好調であり、今年度に旭工業団地北部で造成工事に着手した。分譲後、第2期に移行する計画で「新たな雇用創出や本市のさらなる産業振興のため、企業誘致にしっかり取り組んでいく」と話し、受け皿の拡大を急いでいる。
市役所本庁舎から見える公立松任石川中央病院は、既存施設の北側で増改築が計画されており、新年度は実施設計が進められる。「これからの医療と介護を担う中核病院として、地域の皆様が安心して利用できる病院となるよう、経営母体である企業団を構成する野々市市、川北町と連携し、広域行政の中でしっかりと進めていきたい」との見解を示す。
さらに市役所本庁舎と同病院との間の土地に関する利活用として、合同庁舎の構想も浮上。「あくまでも案ですが」と前置きした上で県石川土木総合事務所や県石川農林総合事務所、石川中央保健福祉センター、ハローワークなどを挙げ、「公共施設の集約により、効率的で持続可能なまちづくりが可能になる」と期待を寄せる。ただ、このエリアは市街化調整区域となっていることなどを踏まえ、「地権者や国・県などの出先機関の意向が優先されることから、関係機関との調整が重要となってくる」と慎重な姿勢を示す。
災害に強いまちづくりにも傾注する。「コミュニティとしての防災をより強固にしていきたい」と述べ、24年度に全地区での自主防災組織の一斉スタートを目指す。「3期目も引き続き、対話と参加を信条に市民本位の視点で市政の運営に努め、市民の皆様が住んで良かったと実感できる白山市づくりに全身全霊を傾け、職務にまい進する」と意欲を見せた。
1951(昭和26)年生まれ、金沢工業大学土木工学科卒。旧吉野谷村長、石川県議会議長などを経て、2014年から現職。