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建設経済新聞社
2023/02/15

【京都】向日町競輪場再整備に基金 施設集約し余剰地を活用 令和5年度に基本構想策定

 京都府は、存続方針を決めた向日町競輪場について、再整備に向けた基金を令和4年度中に設置する。施設を集約し再整備するとともに、集約することで発生する余剰地を民間活用も視野に整備する考えで、令和5年度に基本構想を策定する。令和5年度当初予算案に向日町競輪場基本構想策定費100万円を新規計上した。
 向日町競輪事業の今後のあり方を巡っては、2月議会の一般質問(3日目・2月13日)で質疑があり、西脇隆俊知事と吉井俊弥総務部長が答弁。西脇知事は「競輪事業の持続可能性について、平成26年度以降、継続して前年度を上回っている好調な全国の車券売上等に基づく収支見通しによれば、バンクの全面改修や老朽化した施設の除去など、競輪事業の継続のために必要な施設整備を行いつつ、一般会計への繰出なども引き続き見通すことができると判断した。その上で競輪場を設置する本来の目的である公益の増進、地方財政への貢献以外にも競技大会の開催に伴う集客やスポーツに触れる機会の提供など競輪事業を通じた地域振興への貢献のほか、レジャーや憩いの場、スポーツ活動や防災の拠点としての競輪場の活用など、競輪事業や競輪場の意義、役割を再確認した。こうした検証結果を踏まえ、今後のあり方に関する基本的な考え方として、競輪事業については、現在の包括民間委託の終了後の令和7年度以降も継続すると判断した。競輪事業を継続するにあたっては、近年、来場者が大幅に減少する中、京都府の施設である以上、多くの府民に利用されることが望ましく、来場者を増やすことが必要と考えている。そのため、老朽化が著しい施設について、施設・機能を集約し、競輪事業の継続に必要な施設整備を実施した上で、その立地の良さを生かし、集約化に伴い余剰スペースの整備を実施することとしている。こうした整備の実施により、向日町競輪場を競輪開催の場としてだけでなく、地域の交流、賑わいの拠点となる施設へと転換させ、競輪、自転車競技関係者のみならず、府民に広く親しまれる存在へと変革したい」と考えを述べた。
 吉井部長は「令和4年度中に計画的な施設整備を目的とする基金を設置し、積み立てを行うことにより資金の確保を図っていく。令和5年度は競輪事業の継続に必要な施設整備や老朽化施設の除去、投票・観戦施設の集約化に伴い生じる余剰スペースの整備を実施するための基本構想を策定する。この基本構想では、施設整備にあたっての課題、収支見通し、施設整備のコンセプト、余剰スペースの活用方針、民間事業者のノウハウや資金の活用などの整備手法、整備スケジュールなどを具体化したい。策定にあたっては収支の継続的な分析を行うとともに、競輪、自転車競技関係者や観戦者、地域住民などから幅広く意見を聴取したい」と述べた。
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 府が令和4年12月に府議会総務・警察常任委員会に報告した「向日町競輪事業の今後のあり方に関する基本的な考え方案」によると、単年度収支見通しでは令和5〜7年度は各年度9億円、8年度は11億円と見込み、改修等で休場を想定する9・10年度は各5億円、11年度は10億円を見込む。令和9年度下半期及び10年度上半期に施設改修等により休場し、令和8年度及び令和11年度に一部レースをシフトして開催することを想定する。
 施設整備に活用可能な財源として、令和3年度から4年度への繰越金18億4000万円(令和3年度末時点)があるが、府議会総務・警察常任委の質疑で府は「一般会計への繰出とのバランスもあるため、それを見ながらとなるが、できる限り基金を積み上げ、その中で施設整備はまかなえるようにしたい」と述べた。
 なお令和3年度包括外部監査では、向日町競輪場のリニューアル費用は解体費+バンク全面改修+メイン施設の建替えの合計30〜36億円と、追加実施工事10億円の合計約45億円と見込む。また向日町競輪事業外部有識者会議では、事業を継続した場合の施設整備の事業費として概算で30億円程度が必要と報告した。