熊本県は、17日開会の定例県議会に提案する2023年度予算案を発表した。一般会計は9135億9000万円。初めて9000億円を突破した前年度当初を、更に105億円(1・2%)上回る規模となった。新規施策では、消防学校の校舎・寄宿舎整備に基本設計費を計上、26年度の完成を目指す。半導体関連産業の集積に向けては、セミコンテクノパーク周辺の渋滞解消等に24億8800万円、新規工業団地の整備に24億9700万円(特会)を付け、竜門ダムの未利用水を活用するための設備基本設計費等も盛り込んだ。定例会は3月17日まで。
予算編成では、▽令和2年7月豪雨からの創造的復興238億円▽新型コロナ感染症を踏まえた対応1025億円▽熊本地震からの創造的復興151億円▽将来に向けた地方創生の取り組み199億円|を配分。重点的取組として、半導体関連産業の更なる集積や、交通安全水準の向上などに、合わせて174億円を積み上げた。重点課題には、球磨川流域の治水対策と水俣病問題を掲げている。
令和2年豪雨からの復興では、人吉市復興まちづくり推進11億2600万円、熊本港整備13億5300万円、八代港整備7億600万円などを計上。国直轄事業負担金として、立野ダム・川辺川流水ダム整備に37億4900万円、中九州横断道路・九州中央自動車道などの幹線道路ネットワーク整備に63億400万円を充てる。
地震からの復興では、熊本高森線4車線化22億100万円、益城町土地区画整理21億3000万円、空港アクセス鉄道推進2億6100万円を計上。アクセス鉄道は、ルート案を検討するための測量調査や環境アセス方法書の作成等を予定している。
地方創生の取り組みは、高森高校環境整備3900万円、消防学校整備600万円(限度額2億900万円の債務設定)、熊本都市圏高規格道路調査1億5200万円、過疎地域や被災自治体の道路整備等を県が代行する市町村支援15億1700万円、長洲港土砂処分場整備1億500万円、盛土等規制区域指定基礎調査4700万円など。
消防学校は、老朽化と環境改善を理由に、校舎・寄宿舎を合築により全面改築する。26年度までの4カ年事業で、概算事業費42億円を見込む。
重点取組に位置付けたセミコンテクノパーク周辺の渋滞解消では、21年度から取り組んでいる新山原水線整備に加え、大津植木線の原水工区多車線化と福原工区ICアクセス整備、国道387号合志市須屋付近の計画検討に新規着手する。交通安全水準の向上には、ハード・ソフトを合わせて70億2700万円を付けた。
球磨川流域治水の推進では、宅地かさ上げ・堤防整備19億3600万円、支川掘削6億6600万円、治山施設整備16億1200万円、渓流保全工等17億2300万円などを計上。
一般会計に占める投資的経費は1757億2200万円で、構成比19・2%。災害復旧費は事業進捗により前年度より42億円減少したが、普通建設費が補助43億円増、単独55億円増となり、全体で50億円(2・9%)増えている。
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