県建設業協会(井木敏晴会長)は8日、県営繕課と鳥取市内で懇談し、建築物のPFI導入に「メリットは何なのか」と強い違和感を示した。県内業者の受注機会が減らされる恐れがあり、事業者選定の審査基準にも疑問を投げかけた。
懇談には建協の井木会長をはじめ、建築委員会の向井康英委員長ら各委員が出席。県側は営繕課の下田悟課長ら職員と、PFIを担当する行財政改革推進課の職員が同席した。
PFI事業について、建協の委員は「受注するために(予算以上の)過大な提案になりやすい」とし、「その上、決められた予算内で安く取らされる」と苦言を呈した。
さらに、「事業者の特定目的会社(SPC)から地元業者に仕事が回ってこない」と指摘。事業者の選定でも「有識者による審査はきちんとなされているのか。選定基準が不明瞭」と、より客観的な審査基準を求めた。
これに対し県の担当者は「PFIは民間の収益機会を増やすことになる」「運営上の管理のしやすさなど設計の段階からチームで考えてもらえれば、建築コストも安くなる」などと説明。地元発注では適切な対応を順守するとし、審査では基準点を分かりやすくし透明性に配慮する意向を示した。
委員は「良いものを安くでは、どこかにしわ寄せがいく」と追及、提案費用の負担などの課題も取り上げ議論はすれ違った。
このほか委員と営繕課は、現場管理を電子データでやり取りする「工事情報共有システム」の活用を来年度からA級対象に義務付けることに同意。建設キャリアアップシステムの活用では、県が営繕工事についても来年度から活用希望業者の経費を一部負担する。
また週休2日制(4週8閉所)については、県がA級の全工事を対象とする案を提示したのに対し、委員は日給月給の職人や現場条件などの課題点を挙げた。
営繕課は来年度、「情報共有システムや週休2日について現場レベルで意見交換し、検討課題を抽出したい」と説明した。
日刊建設工業新聞