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建通新聞社(神奈川)
2023/02/09

【神奈川】県が23年度当初予算案発表

 神奈川県は2月8日、2023年度当初予算案を発表した。4月に行われる知事選挙を踏まえた「骨格予算」として編成しながらも投資的経費は前年度当初比2・4%増の1736億2400万円を計上、県民の安全・安心のためのインフラ整備や県立教育施設の整備、老朽化した県有施設の建て替えなどに配分した。主な建設関連事業では、横浜市、川崎市、藤沢市に計画している新たな県立特別支援学校の整備で設計などに入る他、3カ年で建設する県営浦賀かもめ団地1期、横内団地1期の建て替え事業に着手する。急傾斜地崩壊対策や交通安全施設整備、緊急輸送道路や「かながわのみちづくり計画」に基づく幹線道路網の整備を中心とするインフラ整備に必要な予算を盛り込んだ。
 県立特別支援学校新校などの整備には1億9158万円を計上。横浜市内校の建設予定地の敷地測量調査、川崎方面校(川崎市)の調査設計、湘南方面校(藤沢市)の基本設計を行う。
 教育関連ではこの他、伊志田高校など県立42校の耐震・老朽化対策工事や生田東高校など18校の耐震・老朽化対策調査・設計などに171億2513万円、空調整備には高校の特別教室69室、特別支援学校の特別教室や体育館13室の整備などに15億7070万円、県立学校などの屋上防水工事や防球ネット更新工事、ガラス飛散防止工事などに15億9300万円を盛った。社会教育施設の整備には9億8212万円を充て、県立図書館(横浜市西区)の収蔵館改修工事や生命の星・地球博物館(小田原市)の設備改修工事などを実施する。

〜浦賀かもめ1期、横内1期の県営住宅建替に着手〜

 県営住宅整備事業には98億8767万円を盛り込み、浦賀かもめ団地1期(横須賀市)で鉄筋コンクリート造5階建ての3棟144戸、横内団地1期(平塚市)で同じく4棟221戸の建て替えに着手する。工期は23〜25年度。また、PFI事業として着手した上溝団地と追浜第一団地の建て替えも継続する。
 建築関連ではこの他、23年度中に工事に入る平塚保健福祉事務所秦野センター(秦野市)の移転・再整備で23年度分の事業費として1億5940万円、川崎県税事務所(川崎市)新築工事費に1億9500万円、高相合同庁舎(相模原市)建て替え工事関係費に5億2503万円を計上。いずれもZEBの導入を予定する。武道館(横浜市)整備工事費には11億6600万円で、施設の老朽化対策改修や冷暖房設備工事を行う。
 警察施設の整備では、県警察本部庁舎のリニューアルに4340万円を新たに盛り込み、基本構想を策定する。この他、多摩警察署改修工事に3億0600万円、民間活力導入型交番新築工事に8億5748万円を計上した。

〜国の補助要件緩和で急傾斜地崩壊対策を促進〜

 インフラ整備関連のうち、急傾斜地崩壊対策には枡形6丁目C地区など353カ所に48億4569万円を計上。法枠工などを整備する。さらに23年度政府予算案で国の補助金の採択要件が緩和(がけの高さが10b以上から5b以上に緩和)される見通しとなったため、13カ所に2億3750万円を計上し、国の補助金を活用する公共事業として実施。横須賀市鴨居2丁目A地区で工事、吉倉町地区で調査など施設整備を促進する。
 交通安全施設などの整備では、県道63号(相模原大磯)など103カ所の交通安全施設等整備に30億0021万円、県道40号(横浜厚木)など55カ所の交通安全施設補修に15億0678万円を盛った。
 緊急輸送道路などの整備で国道134号など79カ所の道路災害防除事業に23億6314万円、国道134号湘南大橋など50カ所の橋梁補修に36億2295万円など、「かながわのみちづくり計画」に基づく幹線道路網の整備では県道603号(上粕屋厚木)、県道42号(藤沢座間厚木)、県道410号(湘南台大神)など38カ所の道路改良に52億4201万円、都市計画道路横浜藤沢線など21カ所の街路整備に40億4343万円を計上した。
 治水対策を進める河川改修事業には149億2604万円を盛り、護岸工や鉄道橋架け替えを行う境川(横浜市)など114カ所の工事などを行い、矢上川地下調節池でトンネル本体1期工事を継続する。海岸高潮対策には11億8559万円で茅ケ崎海岸など12カ所の養浜や護岸の改良などを実施する。
 農林水産業関連のインフラ整備には、農道整備事業に8億4800万円を計上し広域農道小田原湯河原線の整備を実施、治山事業には12億7726万円を盛り、相模原市緑区牧野(新和田)他34カ所で既存施設の補修などを行う。林道改良事業には7億6858万円を充て、神の川林道(相模原市)他41カ所で法面保全、舗装、局所改良、橋梁・トンネルの補修を行う。漁港整備には11億8104万円を計上、県営の三崎漁港(三浦市)、小田原漁港(小田原市)の整備、長井漁港(横須賀市)他市町営の9漁港の整備に補助する。

〜酒匂川水再生Cで焼却炉改築の設計、箱根水道包括委託では事業者を公募〜

 流域下水道事業では、管渠やポンプ場、処理場整備に69億6866万円を盛り、酒匂川流域下水道左岸処理場(酒匂川水再生センター)で老朽化した焼却炉の改築の詳細設計などを行い、合わせて汚泥処理を集約する。
 水道事業では、管路更新推進事業に220億1909万円を計上した。事業内容は、老朽配水管リフレッシュ事業(140億0482万円、延長66`)、大口径老朽管リフレッシュ事業(21億9481万円、延長7`)、その他(災害協力病院など重要給水施設への供給管路の耐震化、管路更新、58億1946万円、延長19`)。箱根地区水道事業包括委託事業では24年度から始まる第3期に向け、事業者を公募する。
 電気事業では、相模ダムリニューアル事業に調査・設計費1億3855万円を盛り込んだ。24年度に着手する下流施設工事の発注に向け、実施設計の成果を基に必要な工事積算歩掛の調査などを行う。

〜5年連続4兆円超え、予算額は過去最大規模に〜

 予算案の総額は4兆6815億1200万円で前年度当初比1・4%増。5年連続の4兆円超えで過去最大規模の予算額となった。会計別の主な内訳は一般会計が2兆2616億6100万円(前年度当初比3・5%減)、流域下水道事業会計が402億1600万円(同12・4%増)、水道事業会計が995億8800万円(同4・2%増)、電気事業会計が108億6221万円(同1・9%減)など。
提供:建通新聞社