球磨焼酎メーカーの高橋酒造(人吉市合ノ原町、高橋光宏社長)が、新たな事業展開として整備するウイスキー蒸留所の施設が、くまもとアートポリスの新規プロジェクトに加わった。
2014年3月に廃校となった人吉市の旧田野小学校の体育館と校舎を、それぞれ蒸留所と貯蔵庫に改修するもの。更に、見学通路を増築して2棟を繋ぎ、展望や試飲スペースを設け、地域交流施設としても活用される。
改修規模は、延床面積約1300平方b(増築409平方b)、総事業費は機器等を含め約10億円。
設計者は、yHa architects(福岡市)の平瀬有人氏と平瀬祐子氏。設計コンセプトとして@赤い屋根という物質的A小学校のもつ郷愁的B田野高原の地域的|の三つの記憶の継承だとした。
整備スケジュールは、5月まで設計を行い、6月から24年3月が第1期工事(蒸留所部分)で、同年4月から生産を開始する。その後、24〜26年度までの貯蔵期間に第2期工事(見学施設)を行い、オープンに備える。施工は、人吉市の速永工務店が担当する。
1月25日に人吉市であった会見で高橋社長は、田野地区でウイスキーづくりに挑戦する理由について「酒をつくるには地域の風景や雰囲気が大事。人々の思い出を大事にしながら校舎等の有効活用を図りたかった」と話し、「将来的には、キャンプやトレッキングなどができる体験型の観光名所として整備できれば」との考えも示した。
県の小路永守建築住宅局長と人吉市の松岡隼人市長も同席。令和2年7月豪雨に触れながら「既存施設をリノベーションするという魅力的な試みで、民間の復興拠点施設になる。技術的な支援や国内外への情報発信などで協力する」(小路永局長)、「あるものを生かし、磨きあげ、組み合わせることで、新たな価値を生み出すという未来型の復興に合致する」(松岡市長)―とプロジェクトへの支援を表明し、期待を込めた。
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