建通新聞社
2023/02/02
【大阪】NEXCO西日本 3000億円追加の更新計画を公表
高速道路リニューアルプロジェクトを進めているNEXCO西日本とNEXCO東日本、NEXCO中日本の3社は1月31日、定期点検や点検技術の高度化によって、新たに対策が必要な個所が延長約500`(上下線延べ900`)判明し、約1兆円の事業費が必要になったと発表した。このうち、NEXCO西日本の管轄エリアは延長約190`、事業概算費は約3000億円としている。
3社は2015年3月から、高速道路約1万`のうち約1360`を対象に床版の取り替えなど更新事業を進めている。現行の事業費は約4兆円。これに約1兆円を上乗せする。有識者で構成する、高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会からの中間とりまとめ報告を受けて方針を固めた。
新たに判明した必要な対策は、▽桁のPC鋼材の腐食とグラウト充てん不足への対応▽鉄筋コンクリート床板・中空床版の劣化への対応▽舗装路盤部の疲労破壊への対応▽地すべり対策をしても変状が収まらない切土のり面への対応▽火山堆積物地質における路面陥没への対応―。
鉄筋コンクリート床板・中空床版の劣化は、新たに電磁波レーダー探査や小径削孔調査を行ったことで、古い基準で設計や補修を行った橋梁で、床版上面や内部のひび割れなどが確認されるようになった。劣化が著しい場合は、高耐久なPC床板に取り替える。対策箇所の事例として、長崎自動車道の嘉瀬川橋(佐賀県)の上り線・橋長455bを挙げた。
切土のり面への対応については、抜本的な対策として、本線上にカルバートを設置し、その上に押え盛土を構築することで、のり面全体に対して面的に変形を抑制する。対策箇所の事例として、山陽自動車道三木ジャンクション(JCT)〜神戸西インターチェンジ(IC)を挙げた。
グラウトの充てん不足による桁の劣化は、PC鋼材の破断などで顕在化していた。しかし、目視による充てん不足箇所の把握は以前は困難だった。しかし、16年以降、非破壊調査技術の高度化によって、充てん不足箇所の検出が可能になった。充てん不足が確認された場合、再注入あるいは桁の架け替えを行う。
舗装路盤部については、路盤部までの変状が近年増えていることから、舗装内部を確認する開削調査を行った。その結果、舗装厚が薄いケースなどで、上層からの疲労ひび割れで水が浸透、下層路盤に永久変形が発生するメカニズムが判明した。対策として、高耐久路盤に整備し直す。