三重県河川整備計画流域委員会は1月31日、3回目の委員会を開いた=写真。気候変動の影響を考慮した形で河川整備計画を見直すとともに、未策定の河川について圏域ごとにまとめた整備計画を策定できるように案を示した。優先順位の高い水系に安濃川、岩田川、三滝川、海蔵川、員弁川、三渡川を選んだ。
県内には、長期的な目標を定める河川整備基本方針を策定した水系が29水系ある。このうち、中期的な計画となる河川整備計画を策定した水系は27水系あり、古いもので20年が経過する。今後、検討して行くに当たり、河川整備基本方針の見直しを行わず、河川整備計画の見直しを行うことを基本とする。河川整備計画策定から年数が経過しているため河川整備が進捗していることに加え、地形的条件を勘案した。この結果、対象となった6水系は河川整備計画を策定してから14〜19年が経過している。最も計画が古い桧山路川については流域面積が小さいこと、山地で築堤区間もないことから優先度が低いと判断した。
国の見直し事例では、2010年までの降雨データを使用し、1・1倍の雨量を計画に用いるとしていることから県も同様にした。試算の結果、最小で1・07倍、最大で1・2倍となり、員弁川、三渡川、安濃川、岩田川は整備計画流量が現行の基本方針計画流量未満だったため、河川整備計画を見直す手戻りが少ないとみられる。しかし、三滝川と海蔵川については、基本方針計画流量以上になる可能性があることが分かり、河川整備計画のみならず、河川整備基本方針も見直さなければならない可能性がある。
整備内容については、既に整備が完了した区間が再整備とならないようにする必要があり、河床掘削をベースに、ダムや遊水地、放水路といった洪水調整施設、ダムの事前放流をはじめとする流域治水による対応も検討する必要がある。
現在、県が管理する水系は80水系あり、河川整備計画を策定していない水系は53水系ある。今後、木曽川水系、大堀川水系、江川水系は策定する予定としているものの未策定の水系が多くある。喫緊の河川整備を必要としない水系でも適切な管理を行う上で河川整備計画を策定する必要があることから、圏域単位での策定を検討する方針を定めた。案としては、鈴鹿・四日市圏域、松阪圏域、名張圏域、志摩・南伊勢圏域、尾鷲・熊野圏域の5圏域を設定した。
今後のスケジュールは、毎年度開催予定の流域委員会で河川整備計画の見直しと新規の策定を行い、おおむね5年で10件の見直しと新規策定を実施し、将来的に全て見直しと策定を完了させる。
提供:建通新聞社