名古屋市住宅都市局は、公開空地等の基準を見直す。整備時点での容積率緩和に際しては、多様な使い方を想定した高質な空間づくりを評価し、維持・運営では常設的な商業利用を解禁する方針だ。ウオーカブルなまちづくりを実現するとともに、公開空地等を空けておくことを重視した空間から「憩い・賑わいが生み出される居心地の良い空間」に移行・再生していけるよう誘導を図る。2月に新基準を公表、事前周知を経て4月に新基準を施行・運用開始する。
新基準で整備・運営される公開空地等は、オープンスペースと定義。対象は都心・地域拠点の商業地域を基本とする。容積率緩和の対象となる整備基準では、使い方や形態により、オープンスペースの種類・区分を設定、種類・区分ごとの機能確保に必要な事項と、機能や魅力・快適性の向上につながる推奨事項を設ける。必要事項と推奨事項により機能的な高質な空間を高く評価することで、そうした整備空間づくりを誘導する方針だ。事項は、公共歩道を補完する移動空間、憩いや一時的なイベントによる多様な利用、オーブンカフェなど日常的なにぎわいの創出などが想定される。
運営基準では、これまでの運営ルール(活用可能行為、期間、範囲、手続き)を見直し、憩いやにぎわいの創出につながる活用を誘導する。常設的な商業利用も解禁する。常設的な活用では、オープンカフェ、コミュニティーサイクルなどが考えられ、一時的なイベント空間への波及効果も期待できる。
また、商業利用で得た収益はオープンスペースの維持管理や高質化に向けた環境整備に充当できるようにし、継続的な運営につなげる。
現在の公開空地等の基準は、整備基準では空地の形態・規模で画一的に評価。運営基準は一時使用は認めるものの、商取引は原則禁止とするなど、空地があることが目的化していた。新基準を通じて、ウオーカブルなまち実現、リニア中央新幹線の開業、26年アジア・アジアパラ競技大会の開催といった今後を展望し、市民・来訪者など多様な人を引き付ける都市空間の形成を目指す。
提供:建通新聞社