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建通新聞社(静岡)
2023/02/01

【静岡】民間工事の休暇取得に課題

 時間外労働の罰則付き上限規制の建設業への適用まで残り1年となる中でも、民間工事での働き方改革が依然として進んでいない。国土交通省の調べによると、民間受注が主体の企業では、4週8休以上の休暇を取得できた企業はわずか5・0%だという。厚生労働省静岡労働局は、1月30日に県内の受発注者を集めた会合で「個々の企業の取り組みには限界がある。発注者や元請けなどの関係者が一体で臨まなければ、上限規制を守ることは難しい」(稲毛健一労働基準部長)と危機感を示した。
 静岡労働局が30日に開いたのは、建設現場の働き方改革に取り組む受発注者を集めた「静岡県建設業関係労働時間適正化推進協議会」=写真=。この協議会では、建設現場の働き方改革を推進するためのロゴマーク(ふじ丸)を公募で決め、このロゴマークを活用して公共工事での土曜一斉休工(ふじ丸デー)などが進められている。
 30日の会合には、国土交通省不動産・建設経済局建設業課の平山耕吏企画専門官が出席。同省が全国の建設企業を対象に行った調査結果(22年4月1日時点)によると、4週8休以上の休暇を取得できている企業は、公共工事主体の企業で18・1%、民間工事主体で5・0%と公共・民間工事での差がある。
 平山企画専門官も「公共工事が先導し、民間工事の働き方を変える流れをつくりたい」と述べ、特に民間工事での適正な工期設定の重要性を改めて強調した。
 20年10月に施行された改正建設業法では、時間外労働の上限規制適用を見据え、「著しく短い工期」での契約を禁止。違反すると、建設業者だけでなく、発注者も勧告・公表できるようにした。
 法施行に合わせ、中央建設業審議会が作成した「工期に関する基準」では、工期に関する受発注者の責務も規定。発注者の責務には、受注者から工程の遅れが報告され、その原因が発注者にある場合には、契約変更を協議するよう求めている。
 ただ、こうした規制だけで適正な工期を実現することは難しく、民間発注者に指定された工期で受注せざるを得ないケースは多いという。静岡県建設業協会の市川浩透労務委員長は「建築確認申請のように工期をチェックすることができれば、不適正な工期の抑制になるのではないか」などと提案した。